頸城の春08 #2
2008/4/29 松代→松代

　そんなわけで祈るような気持ちで中央突破を試みることに。何となく何度か担ぎで雪崩とその間の落ち枝と落石を越えて進むうち、先行きが心配で心細くなるぐらいの雪崩を越えると、その先はもう落ち枝と落石が路上に転がるだけになった。基本的には谷底へするする下る道なので、こうなると一安心である。とはいえ、大幅に時間を食ってしまった。まあこの後なるようになるのだろう。

　辺りの新緑、そして谷間に再び登場した田んぼを眺めながら、赤倉、県道427を登り返して五十子平と、再び集落を繋ぐ道を辿る。

　五十子平を登り詰めると国道353に合流。谷間を一つスライドして、11:25、東川発。

　東川から市道で藤倉へはまたもや登り返し。

　しつこくアップダウンが繰り返されて信越国境の天水島へ。

　国境の稜線が落ち込んだ麓下手のこの集落、谷間に3階建て木造民家が続き、いかにも豪雪地帯らしい特徴的な景色が続く。

　水の張った田んぼに鮮やかには空が映り込み、間近に迫る切り立った残雪の岩山とともに、いかにも山深い景色である。

　上手の集落は似たような名前の天水越、ここから国道405の三方峠越えとなる。

　と思っていると、集落外れで通行止めの標識を発見。通りかかる地元の方に尋ねると、一言の元に｢ああ、まだまだ通れないよ｣とのこと。この季節三方峠は通行止めと言うことも以前の2001年｢頸城の春｣の時に聞いていたことを今更思い出した。だいぶ進んだ拡幅で裁けた道に変わってしまったように思っていたこの国道、やはりまだ依然として拡幅途上の道なのだった。

　仕方無い。迂回しよう。しかしまだ天水越なのにもう12:05。うーん。安塚からほくほく線北側の登って下ってジェットコースターコースへ足を向ける目論見が何となく揺らぎ始めたのであった。さっきの赤倉林道と言い、思えばコース見込みが甘かったとしか言いようが無い。

　足を停めたところでいっこうに事態は打開しないのである。しかも、ここから松代へ戻ると、ルートを選べば松代まで30分。まだそんなところまでしか来ていない。とりあえず進める間は足を進め、適当なところで引き返すしかないのだろう。というわけで考えられる最短の迂回コースを使い、そのまま先へ進むことにした。

　悔しいが国道405を逆戻り、1本道だが名前が変わった県道80で松之山へ。

　松之山から黒倉経由の丘陵越えの道は、過去ショートカットのつもりが分岐を間違えて時間を食ったり、地図の読み間違いで登り回数を間違えたり、大体焦りや疲れと一緒に覚えている景色が続く、個人的にろくな印象が無い道だ。

　今回は青空と鮮やかな新緑、田んぼと残雪が瑞々しく、現れる景色は頸城らしく素晴らしいものの、やはり個人的な理由で慌ただしい印象を上書きすることになってしまった。黒倉の皆さん、すみません。

　12:40、藤原到着。以前某氏と入った美味しい蕎麦屋は、可愛らしい店員さんの印象もあって魅力的だったが、いや、今日はそれでも安塚の道の駅で蕎麦を食べなくてはならない。

　この谷間、藤原の先から国道405へはかなりの激坂となる。藤原までだらだら微登りで登ってきた谷間が、急にきりきり信越国境山裾の浦田へ登り始めるのだ。

　目の前にいきなり10%以上はあろうかと思われる登りが立ちはだかるこの場所、辺りには急に雪が目立ち始めるのに驚かせられる。まあ、ひんやりした空気が登りで熱くなる身体を冷ましてくれるのが多少ありがたい。

　棚田の間をぐいぐい登ってゆくと、辺りの棚田の中、最近の頸城の景色の例に漏れず、雪で潰れかけた民家が目立つのは少し寂しい。

　13:05、月池着。国道405に合流すると周囲は更に雪深く、改めて迂回させられた三方峠の状況を想像してしまう。山裾の国道405、いつも通るのは秋か夏だったが、なかなか侮れない道だと言うことを思い知った。

　同じ国道405でも三方峠と違い、行く手はもう心配ないようだ。

　小さな名無し峠をひょいと越えると、流石に里より標高が高いからか辺りの棚田にはまだまだ雪が多く、間近に迫る信越国境の稜線とともにとても5月目前の景色とは思えない。

　棚田の中をするするっと下ってゆくと、一気に雪が消え、菖蒲の集落に到着。

　やはり最近の頸城の例に漏れず、集落には見覚えのあるものも含め蕎麦屋が目立つ。菖蒲高原牧場へのアプローチを過ぎ、下りきった交差点で大島への県道80の分岐は1本道、ここから国道405継続は道を曲がる形になる。

記 2008/6/29