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9:45、中の橋発。少し国道371を経由して、狙い定めて県道53、高野天川線へ。取付の登りは案外厳しく、身体が冷えているのもあって息切れがするほど。すぐに標高880mの桜峠に到着、ここからは尾根近くの道。斜度は一応一段落したが、尾根道らしいぐらいのしつこい登りがまだしばらく続いた。何と言っても一応標高1000mを越えるのである。
辺りの山々はこっちから稜線を見下ろす位置関係で、深く落ち込んだ谷間は標高差500m以上、見下ろすとちょっとくらくらしそうな程。どの谷間も山肌も、杉の緑に新緑、そして終盤の山桜に覆われてボリューム豊かである。しかし、道の周りは若芽ちょりちょりの早春の装いだ。ウグイスまで鳴いている。
陣ヶ峰を回り込むと、尾根道の名前は県道734となり、県道53は分岐して十津川街道目指して一目散に下って行く。今日向かう予定の行者還林道へ向かうのに、十津川街道からいずれ再びこの県道53に向かうのだが、この先是非野迫川村を経由しておきたかったので、稜線の県道734へ足を進めることにする。
この野迫川村、奈良県最奥部の山奥の村だ。アプローチは主に高野龍神スカイラインと十津川街道、そして高野山方面から。しかし高野龍神スカイラインへはすべて登り。十津川街道へは下りだが、役場のある村中心、北俣川の谷を順当に下り続けると、断崖絶壁に張り付くダート林道になってしまうのだ。その他の県道アプローチだと、北俣川の谷へはどこかで必ず峠的な部分があるのである。こんな場所、他に無い。
今回、このダート林道「川原樋川林道」へ向かおうと考えていたのだ。北俣から十津川街道まではほとんど下り、ダートでも大したことにはならないだろう。
天狗木峠の少し先で標高1050mまで登った後、おもむろに下り始めると、県道734は下る下る。そりゃそうだ、この先300m台まで約700mも下りなのである。
十津川街道へ向かう県道734と更に分かれて道の名前は県道733となり、10:50、上垣内を通過。小さな野迫川村役場に民家が寄り集まった野迫川村中央部、北俣川沿いの早春の谷間をどんどん下る。
標高750mの北俣まで下ると、緑の若芽はようやく新緑らしくなってきていた。
集落を過ぎてちょっと登って下ってがあり、平へ登って行く県道733と林道川原樋川線が分岐。
林道川原樋川線のダートは、深めの砂利になぜか少しの間登り基調だ。グリップが悪くてしんどいが、谷底は止めどなく下り続けるので、谷底からの高さは一気に増すことになる。
断崖絶壁に張り付くと言うような箇所が多く、この手の道らしく道の外側は開けがちで、見通しは良い。行く手の路肩からぴらぴら頼りなく垂れ下がったガードレールまでよく見えてしまい、崩落土砂の恐怖を感じる。
新緑の山々、谷底の渓谷と、景色は悪くないものの、今後あまり近づきたくない道ではあるような気がした。その通りに、急に道が下りはじめたところでリム打ちパンクに。
修理後に更に下ってすぐに舗装が復活して、中津川で県道734と合流。さっき野迫川村の中央部、上垣内で分かれた道である。この県道734、行く手の下り方面には何と「路肩崩落で前面通行止」の看板が。甘く見て踏み込んで、とんでもない目に遭ってしまった。
事前調査、計画の甘さも含めて反省である。さっき高野山の先で県道53へそのまま向かっていれば何の問題も無かったのだ。
それまでの川原樋川が天ノ川に合流、見下ろす川幅が広がると、対岸山肌の高い位置にガードレールと車の姿が登場。
13:10、宇井で国道168、十津川街道に合流。野迫川から延々続いた心細い無人の道は、ここで終わり。
いつの間にか空はすっかり暗くなり、顔に水滴まで感じ始めていた。天気予報で午後は時々雨が降ることもある、という天気予報を思い出した。何と無くこのまま再び山方面へ向かうのは危ないような気がした。今は国道168を下り、南側の位置で少し高度が低い国道425へ向かう方がいいかもしれない。となると、今日最大の目的だった行者還林道へ向かうのはあきらめないといけない。
以前も一度通ったことがあった国道168は、意外にもまだ1車線区間が残っている箇所が多い。
道幅が広いので自動車は皆無と言うわけには行かないが、まあまあツーリング許容範囲ではある。
空中に浮かんだ長い長い吊り橋の谷瀬大橋、そして入り組んだ地形をトンネルでばんばん抜ける風屋貯水池周辺。
距離はあるものの、まあ下り基調で淡々と行程が過ぎていった。
案の定というか、幸運にも天気は再び回復し、15時を過ぎると日差しすら現れ始めた。国道425越えに向けて一安心だ。
記 2006/5/2