頸城の秋06 #3-2
2006/11/5 糸魚川→直江津

押上→(国道8他)梶屋敷→(県道270)坪野
→(市道)土塩→(林道外山吹原線)峠
(以上#3-1)
→(林道外山吹原線)島道
→(県道377)大沢→(県道246)能生
→(県道542 久比岐自転車歩行車道 他)直江津    66km

林道外山吹原線から大沢経由で能生へ 赤は本日の経路
荒れ気味の林道だったが下ってくれば静かな秋の里 RICOH GR DIGITAL GR5.9mm1:2.4

 峠付近は背の高い茂みに覆われていてさっきほど展望は利かず、ここでうだうだするより、この先下る途中に絶対あるだろう絶景ポイントで時間を費やす方が有意義だろう。行く手にちょっと進んだ先、切り通しの向こうには空が開けている。

 期待通り、その先にはど迫力の谷間が待っていてくれた。

木々の間から谷間がちらちら RICOH GR DIGITAL GR5.9mm1:2.4 13
23

 見上げる空の中から見下ろすのが怖い程の真下まで見事に開けている。木々が道を塞がないぐらいの急斜面なのだ。深い谷を挟んで間近に立ちはだかるのは、さっきの登りでずっと見えていた黒尾の峰と鉾ヶ岳の切り立った急斜面。▼動画40秒

 昨日高倉辺りで眺めた山の形そのままで、ぼこっと巨大な姿が逆光の陽差しの中でまたもや青いシルエットになっている。さっきの登りで見えたの同様、その山肌は見事にすかっと切り立った岩で、やはり鞍部辺りで紅葉が絶好調だ。

 目の前の迫力の景色に気を取られてつい忘れがちだが、さっきまでより狭くなった道は路面がやや荒れ気味で、細かい岩くずや落石が多い。

 それに、4mちょっとぐらいの道の縁には縁石すら無く、アスファルト部の端からすとんと谷底まで落ちてしまっているのだ。

峠部分を見上げる 全山真っ赤っか RICOH GR DIGITAL GR5.9mm1:2.4

 何も覗き込まなくても、道の外側に立ち停まって写真を撮っているだけで怖いが、人がそれをやっているのを眺めるのは更に怖い。τ.κさんも私も、道の縁に立ってお互いに冷や冷やし合っている。

 その急斜面を何度か折り返すうち、あっと言う間に高度が下がり、さっきまでいた峠部分を見上げるようになってしまう。

 切り立った斜面に張り付いた、危なっかしく頼り無い道もよく見えた。

 林道は峠からの急斜面から向きが違う外側の斜面に移って、辺りにはそう高くない半分茂み半分森みたいな濃く深い茂みが続く。

 時々隠し田みたいな田んぼが現れるので、あるいはこの一帯はかつて田んぼだったのかもしれない。そういえば谷を挟んだ辺りの山の、同じぐらいの高さに棚田がよく見える。

 大きなつづら折れを何度か折り返した後、最後はさっき見下ろした谷間のなれの果てへ急降下。

 狭い森をくぐり抜けると間もなく辺りの景色が開けた。10:35、島道到着。

 そう広くない棚田の谷の一番奥、谷間を登ってきた棚田は、ここから脇の山裾へと更に登ってゆく。谷の奥なので空気はまだきりっとしているが、ここまで降りてくると陽差しは何ともぽかぽか暖かい。

 振り返ると、白くまぶしい逆光の空の中、黒尾の峰が大きく立ちはだかっていた。

振り返ると黒尾の峰 RICOH GR DIGITAL GR5.9mm1:2.4 13
23

 その後は、島道川沿いに何とも懐かしいような程良い拡がりの山里が続いた。

 下り斜度のまま谷間を下るに連れ棚田と農村は次第に拡がって、気温もどんどん上がり、大沢で昨日の能生川の谷間に合流する辺りではもう完全にぽかぽかになった。

11 能生から久比岐自転車歩行車道経由で直江津へ 赤は本日の経路
21

 能生からは昨日も通った久比岐自転車歩行車道へ。まだ時間は早いような気はするが、かと言ってどこかへ踏み込むと、後々慌ただしいことになるかもしれない。

 この際あまり欲張らず、晴天の青い日本海でも眺めながらのんびり直江津へ向かうのが楽しいだろう。この充実した満足感を損なうようなことだけは避けたい。

 しばらく岸壁に国道8とともに張り付く寂しげな表情の道が続いた後、筒石で海岸沿いの平地が拡がって、辺りは活気のある小綺麗な町が現れた。

 町の裏手に続く1本道は、所々でその位置を少し変えたりもする。この辺り、どうも時々旧北陸本線から外れているような気がする。まあこちらも雰囲気の良さそうな町中の道を経由したりして、細長い筒石の町を通過。

 町の東側には、番屋のような低い家屋が狭い浜辺にぺたっと張り付いている。こんな景色も、いかにも日本海の海岸らしい景色だ。

 ところで、昨日連絡が取れたぐー氏夫妻が、今日は直江津からこちらへ向かってくるとのこと。諸条件と情報を総合すると、τ.κさんも私も、時間的にもし会えるとすればそろそろではないかと考えていた。

 ところがまったくその通りに、11:40、名立手前のトンネル内で我々はばっちり遭遇することができたのである。予想していたとは言え、旅先での、それもちょっと寂しげな表情の地での友人との遭遇はとても嬉しい出来事だ。休憩所で話し込むと、あっと言う間に時が過ぎる。

 でも、ぐー夫妻は糸魚川発の指定券を買ってしまっているし、我々も直江津に最後の大きな目的がある。それにもうお昼、早くも陽差しの中に赤い光が混じり始めていて、ちょっと気も急き始めていた。
 12:15、名立発。

 日なたはぽかぽか暖かく、坂も風も無く、ひたすら穏やかな久比岐自転車歩行車道。青い空と日本海、人気の無い岸壁の道にのんびりした漁村。

 淡々と景色が移り変わって繰り返され、地図を確認する度にまた直江津に近づいてしまったことを知る。

 実際、有間川、谷浜と東へ進むと、次第に脇の国道8沿いもそこはかとなく寂しげな表情が消え始める。

 谷浜から先は久比岐自転車歩行車道も単なる国道8の歩道と化し、やがて唐突に終了。直江津市街まではまだほんの少しあるので、海岸沿いの1本道を経由してからおもむろに町中へ。

糸魚川から直江津へ 赤は本日の経路 13
23

 13:05、直江津着。昨日高田駅を前にして、直江津駅を事務的な金属パネルなどと思ったが、実はこの駅、客船を形取った造形のようだ。何となく済まないような気もするが、まあ黙っていれば誰にもわからないことではある。
 とりあえず予定の列車まで1時間を確保できた。ここは満を持していつもの「富寿司」へ。

 楽しみにしてきた「お任せ地魚握り」を、τ.κさんとたっぷり堪能。お通し別料金、割高ビールもまあ許そう。良い頸城だった。

記 2006/12/18

#3-1へ戻る    頸城の秋06indexへ    頸城indexへ    自転車ツーリングの記録へ    Topへ

Last Update 2007/7/16
ご意見などございましたら、E-Mailにてお寄せ下さい。
Copyright(c) 2002-7 Daisuke Takachi All rights reserved.