北海道Tour05 #9
2006/8/19 豊富温泉→豊富

豊富温泉→(道道84他)豊富   8km

赤は本日の経路 濃い灰色は既済経路 赤は本日の経路 濃い灰色は既済経路
スーパー宗谷 ここから札幌まで4時間強 豊富は遠い… RICOH GR DIGITAL GR5.9mm1:2.4

 起きて外を見てみると、まだ辺りは薄暗い。雲が厚く、綿菓子みたいに周囲の低山の地面近くまでまとわり付いているのである。特にサロベツ原野方面より、山側の谷間が雲が濃い。

11 豊富温泉から道道84で豊富へ 赤は本日の経路
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 6:30、豊富温泉「百葉園」発。山方面は雲が低く濃いので、仕方無く豊富市街へ向かうとする。そう遠くない辺りの低山も雲に隠れ、薄暗い空からは時々水滴も感じる。今日はもう駄目っぽい。

 6:45、豊富着。豊富温泉の谷間からサロベツ原野の端っこに出てきたことになる。そのサロベツ原野方面の天気は、雲は低くてもまだしばらく持ちそうではある。しかし、肝心のこれから向かうべき南方面は、濃灰色のこってりした雲が超低空を覆い尽くして、全体的にどんより薄暗い。ついに雨雲に捕まってしまったのだ、と思った。

 もう夕方には札幌に着かないといけない。豊富といえば、道北でもかなりの北なので、今後の行動は総合的な判断が必要だ。駅で列車の時刻を確認しないといけない。
 何となく寒々しい辺りの雰囲気に、この時点で早くも終着の予感はあったが、時刻を見ると1時間後に特急スーパー宗谷札幌行きがあり、その後はなな何と11:43、お昼前まで名寄方面へ向かう列車が無いのだった。ちなみにスーパー宗谷は札幌着12:07なのに、お昼前11:43の普通列車は乗り継ぎで札幌着17:20。真ん中は無いのかとも思うが、まあここはどう考えてもスーパー宗谷の方が時間を有効に使えるだろう。

 一方、ここからこの時間に走り始めると、10時過ぎには音威子府には着けるだろう。しかし空模様から考えて、その前に雨に捕まってしまう可能性が大きい。その時点でスーパー宗谷に乗るためには、スーパー宗谷が停車する幌延か天塩中川へ行かないといけない。そんなに効率良く動けても、せいぜい国道40を大型車におびえて20kmぐらい走れるだけなのだ。だとすると、雨を気にしてこの辺りをちょろちょろしてもあまり意味は無い。それに、初めて乗るスーパー宗谷には非常に興味がある。この際こっちにしてしまえ。
 というわけで、あっけなく今回の旅程が終了となった。

 初日の占冠→新得間を除くと、輪行せずに新得からここまで来れた。輪行が間に入ると行程が途切れた気になって、休むことはできるが気分はぶち壊しなのである。暑い日が続いたが、今回もいい北海道だった。等と思いながら軒下で自転車を解体していると、案の定雨がぱらぱらしとしと降ってきた。
 豊富駅には小さな喫茶店が併設されている。ずいぶん裁けた駅になったと思うが、実態はかつての旧国鉄駅舎が民間委託になっただけだ。その喫茶店はまだ営業していないので、何となく手持ちぶさたでスーパー宗谷を待つ。
 駅に入ってきた行商のおばさんと世間話をしたり、稚内行きが到着して客が降り、迎えの車に乗って一人ずつ去っていったり、いつもの列車待ちの時間が粛々と、しかし確実に過ぎ、7:50、スーパー宗谷で幌延発。

 わかっちゃいたが、何と言っても稚内手前、豊富は道北でもかなりの北部である。音威子府までですら1時間以上、名寄に着くと何というか「帰ってきたなあ」という感慨すら覚えるのが凄い。
 天塩川沿いの谷間には、所々で雨が降っていたものの、それは恐れていたような大雨ではなかった。しかし天塩川は、恐怖を感じるほど泥水が溢れそうだ。谷を囲む山々は裾から雲が張り付いているし、今日はこの選択で正解なのだろう、多分。

 名寄から先は、あのスーパーおおぞら以上のパワーを誇るスーパー宗谷が、いよいよ全力でかっ飛ばす高速化工事完了区間だ。しかしこの頃になると、長い乗車と本当に車窓が楽しい区間が終わって眠くなってしまい、見覚えのある沿線風景がかつて経験したことの無い速度で後方に去ってゆくのを時々うとうとしながら眺めるだけだった。

 札幌ではラーメンを食べ、大通りのとうきびやじゃがバターを食べ、宿で一寝入り。夕方はすすきの「サッポロビール倶楽部」で、こあきさん・すがたにさん夫妻、ISOさん夫妻に迎撃していただいた。かつて無いゴージャスな旅の終わりである。

 ジンギスカンはこれで4夜連続。まあ自分で決めた店だったし、過去3夜のトラディショナルな円形断面の安肉と違う、厚切りラムがとても美味しい。しかし、ジンギスカン以上に美味しかったのはじゃがバター。皆さんには「なんだ、こんなのでいいの」と、意外だったらしいが、安くても何しろ北海道の味。こういうのが一番いいのである。

 翌朝は起きてすぐに新千歳空港へ。7:50発で9:25羽田着、去年までの一晩かかった帰京と違い、うとうとしたらもう窓際席の下界は灼熱の関東平野。あまりにあっけない。着陸直前の晴天の湾岸に、「ああ、頼むから10日前から涼しくなっていてくれ」と祈ってはみたが、飛行機の外はやはり東京、もう挫けそうに暑いのであった。

記 2006/10/1

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Last Update 2006/12/12
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