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取付区間の激坂で有名な広川原逆川林道も、この辺りまで登ってくるとさすがに目をむくような斜度の坂は無い。
のんびり淡々と尾根近くの山肌を辿り、道が再び尾根の南側に出ると、さっき通ってきた大名栗林道が、今度はこちらから見下ろせるようになった。
登り一辺倒の道がアップダウンに代わると、2度の騙し峠が登場するのはこの道毎度のイベントだ。
最後のぐわっとした登り返しを終え、13:20、市境の峠着。
奥武蔵の車道最高標高の峠なのだから、押っつけでも捏造でも知事の名前でも、何でもいいから誰かこの峠に名前をつけてあげて欲しい、と思うのもいつも通り。
※注
峠には何故かスーパーカブの青年がいたが、いかんせん天気があまり良くないためか、さっと下っていった。かく言う私も、あれだけ眺めのいい大名栗林道の後なので、標高的にずっと高いはずのこの眺めに、今日はあまり有り難味を感じない。
秩父側を覗くと、こっち側より更に雲が濃い。標高1142m、さすがにじっとしていると身体が冷える。ここは最後のおにぎりを腹に入れたら、ちゃちゃっと下ってしまえ。
これから降りる深い谷底を見下ろす下りは、落差が恐ろしくて早く下ってしまいたくて、何となく落ち着かない。
さすがに年がら年中崩落している秩父側、道が張り付いた岩肌に、所々に補修や補強の後が見える。まあそんなことを怖れていても、下りが無くなるわけではないのである。
尾根から山肌区間に下ると、一気に季節が下って新緑に包まれるような緑の道になった。
緑の中を一気に谷底に降り、まだ更にどんどん下る。
道の名前にもなっている広川原川沿いにしばらく狭い谷間を下り続け、ようやく秩父側の一番奥の集落、川俣に到着。
狭い谷間に寄り集まったこの集落はいつも花や木々が美しく、訪れるのが楽しみなのだ。
ここから天目山林道に向かう道が分岐しているが、もう14時前。それに狭い谷間の上空に、低い雲が溜まり始めているのが見えた。大人しくそのまま下ろう。
川俣から先は、谷底が落ち込んだと思っているうちにさくら湖が始まる。すでに麓の暖かさも戻ってきていた。蕎麦でも食べたい気分だったが、湖岸の店は何故か高齢者ハイカーで満員、私を見た店のおじさんが困ったような顔をした。蕎麦が出てくるまで30分以上掛かるらしいので、秩父へ向かうことにした。
ダム取付の急降下を過ぎ、上影森から県道に並行する裏道へ。西武秩父近くの町中でも、どういうわけか蕎麦屋という蕎麦屋に人が並んでいる。
14:40、西武秩父着。駅前の人出の多さには驚いた。どうやら羊山公園の芝桜目当ての観光客らしい。お陰で蕎麦にありつくにはかなり苦労した。
おまけに帰りの電車の混雑といったら。
記 2006.5/3