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ここから先、しばらく尾根近くの登り基調アップダウンが続く。
そう広くない谷と名栗湖を見下ろす道だが、開けた道からの、青々と緑の勢いが良い山々の見晴らしが素晴らしい。かなり切り立った斜面のため、視界を遮るものがあまり無いのである。
向かって前方には、この大名栗林道が入り組んだ山肌を登ったり下ったりしているのと、更に向こうに山肌を巻いて登ってゆく広川原逆川林道が見える。
坂の斜度が一段落して、ひんやりした風を感じるようになってきた。芽吹き初めの広葉樹、所々で3〜5部咲きぐらいの山桜。まだまだ春が賑やかになり始める頃の雰囲気だが、山鳥たちの声は元気が良い。タテハチョウやアブなど、虫達ももう大量に出動を始めているようだ。
景色も役者も楽しい道だが、あちこちに崩落が多いようだ。この手の林道にしては広めの道幅の脇に、細かい岩屑が至る所に溜まっている。
大きな岩をかなり強引にすかっと削って道を通している場所も多い。展望は素晴らしいが、道の表情には独特の荒っぽさがあると言える。時々集団で通過してゆく練習MTBやオフロードバイクは、そんなこの道に意外によく似合っている。
空は次第に曇り始めていた。急に薄暗くなったかと思うと、また日差しが現れて周囲が明るくなったりする。
あまり一喜一憂することも無さそうではあったが、空気はかなり冷たくなり始めていた。
山肌を巻きながら、アップダウンの度ごとに次第に高度を上げていった道が一気に下り始めると、谷間の林道との合流点に到着。有馬林道という名前だったか、広川原逆川林道下手の落合から登ってくるこの林道には、通行止めのバリケードが立っていた。しかし、休憩していたMTB集団も、後から登ってきた2人組も、何だか問題無くその道を登ってきたようだ。
沢、林道交差点、来た道も行く手も登り。気温が低くなっていることもあり、何とは無しに足を停めてしまうような場所である。そこでまたおにぎりを食べることにした。この先は既知の道の逆走だ。もう11時半前、景色に見とれてのんびりしすぎだ。このまま下ってしまって、さわらびの湯に浸かって蕎麦など食すると楽しいかもしれないぞ。等と魅惑ののんびり駄目押しプランを思いついたりもした。
しかし一時は暗かった空も、明るくなってきた。こうなれば再び先に進むしかない。11:35、再び出発。
ここから広川原逆川林道分岐まではほぼ登り基調だ。
今までにも増して入り組む山肌に加え、杉林の区間が増え、名栗湖や周囲の山々に代わって近場の山肌を眺めたり、今まで通ってきた尾根道方面や、これから向かう広川原逆川林道を見上げる位置関係になってきていた。
大まかに言うと、さっきまでの尾根区間より見晴らしは低下していた。
それでも尾根区間の前にここを通った前回は、この辺りの見晴らしだけでも大感動していたのである。つまり、尾根区間の見晴らしが良すぎるのだ。
12:45、広川原逆川林道分岐着。ここからは舗装林道だ。一時よりだいぶ天気も回復しているので、このまま初心貫徹で秩父へ向かおう。でも、行けたら行きたかった天目山林道の偵察は、時間的には諦める方がいいかもしれない。
記 2006.5/3