2005.6/5 御荷鉾林道 #2 |
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(御荷鉾林道 | |
林道は切り立った岩肌に張り付き、ぐいぐい高度を上げる。相変わらず周囲の展望は開けず木立の中にくねくねと登りが続くが、それでも所々で大仁田ダム方面や下仁田方面へ続く谷間が見えるようにはなった。今までより斜面が急だからだろう。
途中で下仁田方面へ展望が開ける辺りから、去年の記憶通りにダートが始まった。かつては65km全区間の長距離ダートだったこの御荷鉾林道だが、もはやかなり舗装が進んでいて、ここまできてようやくダート区間が始まったわけである。
標高が上がっためか、行く手の空には雲がもくもく出てきていた。まああまり質が悪そうではなく、勢いの良い密実な雲に下界の暑さが想像された。一方、こっちは森の空気が相変わらず涼しく、ちょっとしたそよ風が天国のように快適だ。
岩場を巻きながら登り続ける周囲には、濃い黄緑のカラマツが目立つ。現れた短い屋敷山トンネルを抜けると、行く手の山肌には道らしい段が見えなくなった。
間もなく木々の中に峠部分が登場。切り通しの向こう、曇り空の下に濃い緑の山々が見えた。奥の上武国境辺りは湿度の高い空の中で、モノトーンになってしまっていた。
登りとダートはとりあえずここで一段落、岩場の山ツツジやフジを眺めながら塩之沢峠まで少し下りである。
12:25、塩之沢峠着。秋の塩之沢峠に較べて、この季節、やはり緑のボリュームが膨張している。
もともと塩之沢峠には、何があるわけではない。まだこのあと先は長いのだ。地図入替とおにぎりの包みを開けるだけで、そのまま出発。
今まで通ってきた山肌のくねくね道とは変わって、尾根近くに道が続く。登り斜度も今までより緩い。明らかに地図上の行程の稼ぎが違ってきた。
尾根近くにも関わらず、周囲は相変わらず閉鎖的な森だ。多少周囲が開けて行く手を見上げる場所でも、絶妙に密な木々で見通しは悪い。斜度があまり厳しくないので、時々谷間の道を通っているような気分にすらさせられ、ふと辺りをきょろきょろ見渡したりもする。
地図を眺めながら桧沢峠、八倉峠を通過。通過とはいえ、登ってきた道が林道と交差する箇所が峠なのだとは思うが、高い場所を通っている印象が無いので、肝心の箇所でそういう意識は全く無い。
八倉峠では再びダートが始まった。登り斜度はやや厳しくなったようだが、相変わらず淡々とした雰囲気が続く。周囲が閉鎖的なのも相変わらず、とにかく開けそうで開けない。時々通過する尾根を巻く箇所でも、判で押したような岩場の切り通しばかり。
でもまあ、今日の下界は最高29℃の予報だった。この涼しい空気に浸れることこそ、今日ここまで来た意味があるというものだろう。それにこの勢いの良い緑。車やバイクが滅多に来ないのもとても良い。
そのうち斜度が一段落、しばらくしてから道はおもむろに下り始めた。こういうメリハリに欠けるところが当御荷鉾林道たる所以だろう、とそろそろ私は気づき始めていた。
標高は1470m、日差しが出ていないと下るだけではちょっと寒い。下り始めてしばらくして「関東平野が一望できる」はずの展望ポイントに到着するが、多分下界は高温多湿なのか全て真っ白になっていて何も見えない。仕方無いのでどんどん下り続ける。
時々短い登り返しはあるが、下りは非常にだらだらである。とはいえ登りではペースが上がらない程度の斜度だ。一番効率が悪い。今日の逆コースだと、多分しんどかっただろうと思った。
記 2005.6/22