旧道に展開する上野村の中心部は、木々も民家の庭も山も川も、ますます秋まっただ中。おまけに午後に入って太陽光線も真っ赤っか。
それだけに、そろそろみんな日没を意識しはじめます。楽しい中に何となく気が急く気分も、この季節のツーリングならでは。
途中で日航機事故慰霊碑「慰霊の園」にお祈りして、更に旧道の紅葉し始めと集落の中を抜け、いよいよ塩ノ沢峠へ。
ところが途中でいい気で写真を撮っていた私は途中の休憩ポイントを見逃し、遅れたと思いこんでひとり塩ノ沢峠へ進んでしまったのでした。
もう15時過ぎ、塩ノ沢峠への谷は更に狭く、日差しは山影に遮られてどんどん気温が下がってきました。
進んでも進んでもみんなが現れないので、湯ノ沢トンネル手前の水場で待つこと約10分強。鳴島さんが探しに来てくれて、ようやく再び本隊に合流できたのでした。
国民宿舎から先はいよいよ谷間から道が離陸しますが、道自体は比較的だらだらで複雑な山肌に忠実に距離があるタイプ。今日最後の登りでもあり、落ち着いてのんびり登ります。
標高が上がると紅葉は更に進行しています。再び道にも日差しが当たり始め、近くの木々も開けた視界の中の周囲の山も、輝くような緑と黄色の鮮やかさ。
正面の岩肌や次第に近づく稜線もいかにも西上州らしいごつごつした表情で、みんなでおしゃべりしながら登っているのもあって退屈しません。
16:00、塩之沢峠着。太陽は傾き初め、峠の茂みのススキが白く輝いています。さすがに標高1000m近くだけあって寒い1歩手前ぐらい、じっとしているとすぐに身体が冷えそうで、暗くなるまでに下仁田へ下ってしまうべく、あまりうだうだせずにちゃちゃっと出発。
トンネル開通後はほとんど車が通らなくなった旧道だけあって、群馬県側の路面は年々荒れつつあり、石ころや凹み、木の枝や枯れ葉などが目立ちます。
落ち着いてそろそろ下ると、いつも妙義山が絵画のような明瞭さで見える辺りで、今日は浅間や志賀方面まで一望の超絶景。今まで過去の訪問では妙義辺りまでは見えていましたが、その奥は雲に隠れていることが多かったのです。今日の澄んだ空の中夕陽に輝く山々は、はっきりと、しかし何か夢の中の景色のようにほわんと明るく、ちょっと信じがたいような景色でした。
その後は杉山のつづら折れを抜け、桧沢の集落を抜け、南牧川の谷間をまっしぐらに下り、17:00、下仁田着。
17:48の高崎行発車まで、駅前の洋食屋でちょっと腹ごなし。頼んだメニューは何と全員揃ってカツカレー(笑)。
記 2005.10/24