飯能→(県道70・市道他)新シ→(広河原逆川林道)市境 |
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前日の体調不良がほんの少し残っているような気がして、せっかく5時に起きたのに2度寝してしまった。おまけに、タイヤの中で暴れたチューブが原因らしい後輪タイヤのバーストが、地元駅で輪行作業中発覚。先週の通勤時に、後輪にずるっと感じた妙な感触はこれだったのだ。知らずに走って向こうに着いてからさあどうしよう、等という自体に陥らなくて良かった。とは言え、これで私の三ツ星トリムラインのラスト1ペアがあっけなく御釈迦になってしまったことになる。
結局飯能発は8:50。昨日考えていた出発希望時刻より1時間以上遅い。まあ全部自分の責任だ。気分を切り替えよう。
飯能の裏町から遊歩道橋で名栗川を渡り、そのまま南岸の道を進む。こっちの方が名栗街道より道が細く、車がやってこない。静かな道の周囲には、静かな集落が続く。農家の庭先、畑や道ばたには、白、ピンクの桜や、黄色いレンギョウ、そして草むらにはタンポポがいっぱい。また、木々も芽吹き始めたところのようで、周囲の山々には杉の濃緑と広葉樹の灰緑の斑が見られた。
原市場の少し先から名栗街道に合流、そのまま進んで名栗村中心部へ。と言いたいところだが、名栗村は今年1月1日で飯能市に合併されてしまっていた。全くどこもかしこも合併ばかりではある。
さわらびの湯から、名栗ダムの取付できりきりっと10%勾配が続く。登りきると、ダムから眺める水面が緑色だ。谷間の奥の有馬山へ続く新緑の山腹に青空がよく映える。
奥の高い部分に、これから登って辿り着く最高地点の道が横切っているのも見える。あれだけ高くまで登るのに、峠の名前は付いていない。広河原逆川林道だから広河原逆川峠か、いや呼びにくいから広逆峠か。それも読みにくいので、いっそ名栗峠ではどうか。でも、それも大名栗林道と干渉しそうではある。
一方、その奥へ続く谷間も、振り返って見下ろす今まで通ってきた名栗川の谷も、何だかむわっと黄色く霞んでいる。改めて今年の花粉の凄まじい勢いを感じてしまう。
10:00、名栗湖発。釣り堀の脇を過ぎると、巨岩に挟まれた狭い谷間の道は、一段と斜度が厳しくなった。切り立った岩の表面は、苔や小木が張り付いて表情が荒々しく、なかなか見物だ。
勢いのある陽射しは次第に谷底まで照りつけるようになっていたが、頭上に覆い被さるような木々が影を作ってくれていた。日差しの勢いと木陰の涼しさに、4月中旬にして爽やかさを感じる。
ある程度遡ると道がくるっと折り返し、山腹を巻いて尾根に登り始めるのも、登るに連れ木々が疎になって、通ってきた道を見下ろせるようになるのも、毎度の峠道のパターンだ。しかし、今日は芽吹き始めた緑が素晴らしく鮮やかだ。山の鳥の声もどことなく華やいで、あちこちに春の喜びを感じる。
去年この道を通ったのはもう少し後の時期だったが、むせ返るようで透き通るような緑に染まってしまいそうな位、見事な新緑だった。今年もこの道にはあとしばらく、見事な新緑の季節が続くのだと思う。
どこかへ続く無造作に付けられた謎のダート林道、その後去年訪れた大名栗林道に合流し、道は尾根近くを更にどんどん登って行く。谷間辺りより斜度は緩くなってはいるようだが、激坂が続いた後では視覚が麻痺してしまい、なんとなくさっきより斜度だけは緩そうなことしかわからない。
厳しい登りが続くだけあり、いつの間にか眼下には周囲の山々を見下ろし、その向こうの関東平野の拡がりまで見え始めていた。谷間の木陰とは種類の違う、乾いた涼しい風も感じられる。
通ってきた道、大名栗林道、そして行く手に続く道の先の方と、稜線の岩場に見通しが良い道が続く。ごつごつした岩が道に面するだけではなく、小さな崩落や落石による砕けた鋭い岩が散らばっていた。
行く手の尾根を巻く辺りは峠のようにも見えるが、実はその向こうも更に登り続ける騙しの峠である。この道には、その騙しの峠が2ヶ所もあるのだ。特に2つ目は遠目に見てもピークの雰囲気たっぷりで、おまけに尾根を回り込んで大々的に下り始めるのだ。その後再び登り始めるのだが、私など真冬だった初回の訪問では騙し峠でお茶をわかしてラーメンを楽しんだものだった。その後意気込んで下りはじめ、登り返した道が遙か上の方まで登って行くのを見て、泣きそうになったものだ。
その登り返しを黙って登ると、最上部の市境近くでは谷間に名栗湖が見えてきた。11:50、市境着。
記 2005.4/20