北海道Tour05 #8-2
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(以上#8-1) |
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尾田でいよいよ山沿いの道道55に合流。本当は左に日高山脈の山々が聳えているはずだが、低い雲で山裾すら見えない状態だ。
村営牧場へは約100mの登り。直登のような一直線でぐわーっと丘陵へ続く、ちょっと嫌な感じの登りだ。晴れだという天気もちょっとだけ暗くなって雨がぱらついたりと、ちょっと予断を許さない雰囲気だ。まあでも、走れるだけラッキーなのである。輪行の旅ほどつまらないものは無い。
ぽこっと盛り上がった村営牧場の丘を下ると、再び周囲は畑に変わった。畑と格子状防風林が続くのは相変わらずだが、日高山脈から帯広方面へ下る土地自体の傾斜、雲の中にちらちら見える山裾が、十勝らしいだだっ広さに山間ののニュアンスを付け加えている。
11:00、上札内発。小さな集落が張り付く道道55と道道111の交差点は、西部劇に出てくる町のような雰囲気だ。
再び平野と山裾の狭間に続く道を進む。時には平野っぽく、時には緩いアップダウン、時には森の中。基本的には畑・牧草地と防風林の景色だが、程良く変わる雰囲気で退屈しない、楽しい道だ。
岩内川の谷間を越えると、地名が八千代に変わった。山側に続く牧草地が印象的だ。晴れてさえいれば、その奥の日高山脈が更に良い眺めのはずだ。道も八千代の途中で道道から市道になり、田舎道の雰囲気が増す。
いつの間にかペースもがくっと落ち始めていた。周囲がなだらかな丘陵のため、見た目には感じない程度の登りが続いているのだ。
地図を眺めて道と照合し、牧草地と防風林の中に立つ看板と牧場事務所に狙いを定めて左折。取り付きには例によって激坂が待ち構えていた。
12:10、八千代牧場着。雰囲気が良く大好きなこの道のお食事ポイントとして、ここのレストラン「カウベルハウス」は1998年から目を付けていた。いつかここで食事してみたいと思っていたその希望が、ようやく実現するわけだ。
ステーキも本格的だったが、ここはメニューに従い、ボリューム最優先で「八千代バラエティ」\1300を注文。出てきた料理は自転車ツーリング向きのすごいボリュームだった。例によって例の如く食欲最優先、即食べ始めてしまい、完食後に「しまった!デジカメ写真忘れた!」と気づいたのもいつもの通り。
ふと気が付くと、まあ何とか持つんじゃないの、ぐらいで収まっていた低い雲が、北の遠くでどす黒くなっている。間違いなく雨雲だ。しかも、レストランの外にも時々ぱらっと来ているようだ。このままあと40kmぐらい進んだ新得で旅程を終えるのは、明らかに無謀であるように思われた。
となるともう帯広へ下るしかない。幸い帯広までは下り基調だ。時刻表をチェックすると、14:54にスーパーおおぞらがある。おおぞらもスーパーおおぞらも料金は変わらないので、ここは断然気合いの走りが楽しめるスーパーおおぞらで行くしかない。
帯広までは約30km弱というところか。基本的に下り基調だし、平べったい十勝平野なので途中には小さな登り返しすら無いだろう。
12:45、八千代牧場発。新得方面の雲が更にどす黒く、更に近づき始めていたが、平野中央の帯広方面は全然大丈夫な雰囲気だ。
道道216に出れば帯広まではほぼ一直線。平野の真ん中へ、牧草地、様々な畑、そして格子状防風林、緑が次々過ぎてゆき、もともと緩い下りが更にどんどん緩くなって、それでもどんどん下ってゆく。
時々現れる標識の帯広までの距離は面白いように減るというほどではなかったが、帯広・広尾自動車道を渡ると、もう残り8km。周囲の雰囲気はぐっと裁けたものに変わった。
更に少し先で突如片側2車線道路が始まって、いきなり周囲が住宅地に変わった。
街中のイレギュラーな道で少し手こずり、14:10、ようやく帯広着。スーパーおおぞらまで45分、余裕の輪行ができる。
誰もいない駅西口の連絡通路の軒下で、のんびりと解体作業を開始。本来通行が多そうな通路に、あまりに人が少ない。帯広もずいぶん黄昏てるなあ等と思っていると、待合室は信じがたいほどの満員である。どうやら道民は甲子園の駒大苫小牧の決勝戦に釘付けで、外を歩いているどころじゃないのだった。
駅で仕入れた豚丼とともにスーパーおおぞらに乗り込むと、車内でも駒大苫小牧の優勝で大騒ぎになった。一方外は、十勝清水辺りで土砂降り。つくづく帯広に向かって良かったと思った。
スーパーおおぞらの激走をたっぷり楽しんで札幌に到着。後は例によって札幌ラーメンに大通り公園である。
翌朝の青森、急行はまなすからの乗り換えでは、JR東日本お馴染みの発車チャイムに9日ぶりの内地を感じ、9日前の自分を思い出した。
記 2005.9/19