2004.11/3
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横川→(町道)国民宿舎裏妙義→(妙義荒船林道 |
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しばらくご無沙汰の間に目を疑う立派な橋上駅舎に変わってしまった箱根ヶ崎を、5:09通称「画期的な八高線」で出発。「画期的」なだけあって、高崎着は始発新幹線より早い。その結果1本早い列車に乗継ぐことができ、横川着は7:19。
今日は晴れの予報だが、列車から見えた近くの山の裾には雨雲がたっぷり残っていた。横川を出発する頃には何とかなって欲しいが、空は一向に明るくなる気配が無い。のみならず、窓には時々水滴が確認できる。まあ、勢いよく雨が降り出すという感じは無いが。
7:45、横川発。やはりすぐ降り出すという感じでもない。
信越線のガードをくぐり、国道18号を超え、しばらく麓の農村を進む。前回の訪問からわずかの間に、西上州の紅葉は谷間に降りつつあるようだ。農村の道はしっとり黒く濡れている。雨上がりらしく、紅葉、柿、秋の花、いろいろな役者の共演が落ち着いた色彩の賑わいを醸し出している。
杉林の中、道の斜度が多少厳しくなり、中木ダムを通過。木々の間から姿を現わした裏妙義湖は、湖というより池という程度の山間の小さな湖である。その湖岸に張り付いて道は進んで行く。湖のこちらも向こう岸も、岸辺の木々はしっとり艶やかに色付き、所々に釣り客が繰り出していた。
「国民宿舎 裏妙義」という看板を過ぎた辺りで、道はダートに変わった。そこには予想通りゲートがあったが、そのゲートは何故か完全に開いていた。事前調査では妙義荒船林道の最新状況がはっきりせず気を揉んでいたが、とりあえず今日は予定通り入ってみよう。
狭い谷間のせいか、雨に濡れたダートは丸く小さな石が多い。坂の急な箇所で小石が路面に露出しているのは、この手のダートで毎度のことだ。その小石が丸いのと、表面が濡れているのと、さらにその上に溜まった落ち葉で、結構滑りやすくなっている。空転が始まったところで、押しに切り替えた。
低い雲が頭上に溜まってはいるが、落葉のため、谷の狭さと木々の密度の割に道は明るい。路面の落葉は濃淡の茶色で、時には大きな灰色の朴葉がたくさん落ちていたりして、落ち葉の隙間の小石とともに、路面をグラフィカルに装っていた。
谷の一番奥で道が折り返し、岩山の山腹を巻きながらぐいぐい登って行くのもいつも通りだ。空の雲は切れだし、時々雲の隙間から青空が見えるようになった。陽射しも出てきている。
9:20、トンネルを通過し、松井田町から下仁田町へ出た。
道は再び向きを変え、斜度は多少緩くなった。地図で位置を確認すると、どうやら大きく湾曲した山肌、稜線近くの区間に入ったようだ。
周囲の木々の隙間からは、湾のように大きく落ち込んだ谷間の空間、反対側の山々、そして山の間、下仁田方面へに消えて行く集落が見える。
登り基調のアップダウンが続く。相変わらず路面は荒れ気味なのに加え、所々で沢を伝って土砂が道に溜まっていたり、路肩が抜け落ちるようにすかっと崩壊していた。崩壊箇所や土砂崩れを通過するたび、周囲の茂みは両側から道に向かって張り出し、行く手を遮るようにすらなっていた。
何か明らかに獣が潜んでいそうな茂みの中、時々大きなバッタのような独特の羽音をさせて、山鳥がすぐ近くから飛び出す。その度にどきっとする。熊よ、頼むから登場しないでくれ。
記 2004.11/22