2002/10/13 小国・飯豊・西会津
飯豊山荘→津川#2

A地点からC経由でB地点へ 赤は本日の経路

飯豊山荘→(村道)足水中里→(県道15)叶水
→(県道8)塩ノ畑→(県道378)飯豊山登山口
(以上#1)
→(赤崩林道)谷地峠→(五枚沢林道)塩ノ沢
→(与内畑林道・沼ノ平林道)相川
→(国道459)鹿瀬→(県道174)津川
150km  RIDE WITH GPS

 CanonT90 NewFD50mm1:1.2L SL KR

   RICOH GR1 GR28mm1:2.8 CTS200

 勇み足を後悔しながら、おっかなびっくりさっきのあやしいダートに突入。路面がじゅくじゅく湿っていて、何だか不安になる。
 と、あやしそうな茂みはすぐに終わり、急斜面を巻きながら木立の中を登る道が始まった。所々で木立の向こうに、ついさっきまで登ってきた谷を挟む山々と大森林、青空が見えている。今までの谷底の道とは対照的な、空中の道である。

 道はまばらなブナに道の両側から適度に覆われつつ、適度に見晴らしが良いぐらいに開けている。路面が木漏れ陽で緑色に染まる箇所、頭上が開けて青空と太陽が現れる日なたの箇所、或いは山肌の陰になる箇所もあり、退屈しない道だ。時々路面を水が流れるウォッシュボードのような箇所もある。雰囲気のいいカーブもあり、立ち止まって何度かニューサイ写真を撮ったりした。しかし、じりじりけっこう急な坂と、ガレ気味の路面はなかなかしんどい。おまけに激坂を行けども行けども頂上に着かない。

 CanonT90 NewFD50mm1:1.2L SL KR

 それでもやがて、斜面の上、木立の向こうに空の青い色が見えるようになり、周囲は開けだし、尾根の縁らしいエッジのすぐ下をなぞるようになって、坂もだいぶ緩くなってきた。
 道がくるっと巻き返すと、道が平坦になった。地図通りに尾根上の道に出たようだ。尾根の平地付近では今までのブナ森林と違い、植林らしい高さの揃った杉主体の森に開けた道が続く。この辺は地図では湿地になっているはずなのに、道は意外と長い間続いた。「またかよ」とちょっと心配になったころ、葡萄林道との合流点に到着。良かった、地図通りだ。廃道状態だという葡萄林道方面は何だかガレ気味で、木の枝が路面に被さっており、もともとその予定はないのだが、何と無く踏み込むのがためらわれるように思えた。

 ようやく見えた湿地帯の脇を抜けると、間もなく道の行く手、カーブの向こうが空中の青空になっているのが見えた。さっきの飯豊トンネルでの向こう側の大展望を思い出し、期待が高まる。11:05、谷地峠着。

 RICOH GR1 GR28mm1:2.8 CTS200
  A地点からC経由でB地点へ 赤は本日の経路

 期待通り、いや、それを遙かに上回る大展望が眼前に拡がっていた。
 壁のような切り立った急斜面がすとんと落ちて、その足下からもこもこと拡がって、どこまでも視界の彼方へ続いてゆく、いや、下ってゆく大森林。さっきまでの山形県側も山深い眺めだったが、こっちは更に見通しが素晴らしい。標高は1000m無いのに、山の落差が激しいので、展望に見応えがある。

 見下ろす樹海の濃緑の葉は、快晴の強い太陽光線を受けて、強い青色を帯びているようにすら見える。その緑が奥へ続き、緑の彩度が低くなり、灰色だか青だかよくわからない曖昧な色になって遠くへ消えてゆく。更に遠くに霞む白い塊は、あれは会津盆地か。
 雲一つ無い激晴れの青い空、紅葉になりかけの山々、見下ろす緑の大樹海。道の縁に立っていると、まるで空の中にいるようだ。

 RICOH GR1 GR28mm1:2.8 CTS200 パパノラマ合成
   RICOH GR1 GR28mm1:2.8 CTS200
 RICOH GR1 GR28mm1:2.8 CTS200

 おもむろに福島県側に下り始める。
 今までと同じように、ブナをはじめとした広葉樹林の木漏れ陽が、地道を緑色の光で照らしていて、本当に美しい。おまけにこちら側は南斜面で、日なたの斜面だ。所々陰になっていた山形県側の陰影のある山の道(いや、それもいいのだが)と較べると、まさに光の中を道が通っているという印象がある。
 壁のように切り立った斜面を、道は10段のつづら折れを描きながら、約400m標高を下げる。路面はかなりよく締まった地道である。基本的にほとんど気を使わない極上の路面状態だが、下の方では所々車輪を取られるような深砂利の部分があり、時々ひやっとさせられた。
 10回もつづら折れがあると、今自分がどの辺だか分からなくなる。途中から1回折り返す毎に1つ数えながら下ってゆく。それでも、下りはあっと言う間だ。山々を見下ろす道だったのが、つづら折れを下るに連れて、対岸の山々を正面に眺める位置になり、谷間が近づき、そして最後のカーブを曲がり終え、谷間に降りてしまった。

   RICOH GR1 GR28mm1:2.8 CTS200

 森の中やちょっと開けた感じの川沿いの道続き、畑が現れたと思っている内に民家が現れ、11:50、五枚沢到着。
 道ばたの岩魚塩焼きに惹かれ一串頼むと、これから焼くので15分以上掛かるとのこと。それはちょっと時間的に厳しいものがある。岩魚はあきらめ、ちょっと水を飲んで、飯豊山荘でもらったおにぎりで補給。
 やっぱりお昼前喜多方到着は無理だった。これから喜多方について、ラーメンを2杯食べると、多分14時前にはなるだろう。車の多い国道49号だけを通っても、津川辺りまで行くのが関の山かもしれない。幹線国道なんか走っても何の意味も無い。ましてやあの素晴らしかった小国の峠、県境の谷地峠の後だ。
 まあ昨日から何となく覚悟はしていたが、今回は喜多方ラーメンには寄らずに西会津方面の山間に足を向けることにする。

  A地点からC経由でB地点へ 赤は本日の経路

 塩ノ沢から与内畑林道に入り、与内畑・板ノ沢・沼ノ平と、山の中の森と畑、小さな集落を縫う道を行く。山の中の森と言っても、森の木々はさっきまでのような圧倒的なブナ林ではなく、いかにも植林されたような杉林で、けっこう下ってきたのが実感される。とはいえ、森の中を行く細い道のアップダウンは激坂で、相変わらず交通量が少ない。

   CanonT90 NewFD50mm1:1.2 L SL KR

 森の中の登って下っての合間には、集落が現れる。山形県側と違い、こっちの集落には、山間とはいえ会津らしく、明らかに蔵が多い。この辺りまで降りてくると紅葉はまだだが、赤い柿や干してある稲穂、どこかゆっくり飛び交う赤トンボ、全体的に秋真っ盛りの山里の中を進む。早くも昼の12時台あたりから、何だか夕方みたいに日差しに赤い色が混じり始めているのも、秋のツーリングの常だ。

  A地点からC経由でB地点へ 赤は本日の経路

 相川からはずっと国道459で津川手前の鹿瀬まで向かう。400番台国道の例によって、この国道459も静かな道が山の中や阿賀野川沿いに続き、多くの箇所では待避所でないと乗用車の行き違いもできないぐらい狭い、国道離れした道だ。以前、99年の会津ツーリングで、徳沢→鹿瀬の阿賀野川沿いの区間を通って、その交通量の少なさに驚き、雰囲気の良さに目を付けていたのだ。今回も地図で知っていたはずの合流点で、あまりの狭さに地図を見直したぐらい、国道らしくない国道である。
 ちょっと下り、13:30、山都通過。ここから再び300mほど登って下って徳沢へ向かうことになる。

   RICOH GR1 GR28mm1:2.8 CTS200

 国道459は、周囲が開けたり渓谷の道になったり、集落やら畑やら森やら、風景がころころ変わる、期待通りに楽しい道だ。途中の宮古は山の中の集落だと言うのに、何だか蕎麦屋が集中していて、農家風の素朴そうな作りの蕎麦屋が何軒もあった。休日の今日は繁盛しているみたいで、昼過ぎだと言うのに早々と営業終了の看板を出している店もあった。山都からやや交通量が増えていたが、そのほとんど全てが会津方面から宮古への客だったようで、宮古から先は自動車がほとんど来なくなった。
 幕ノ内を過ぎると、それまで続いていた登りが終わり、つづら折れ下りで一気に標高を下げる。細かいカーブが多く、あまり舗装状態も良くないので、そうスピードは出すわけにはいかない。それでも、静かな道はいい気分だ。所々展望が開けて見下ろす、山々が重なる西会津の風景も、なかなか楽しい。

 突然、前輪で「パン!」と音がした。すぐにブレーキをかけるが、自転車から投げ出されて転倒してしまった。
 チューブ破裂である。今回のツーリングではダート区間も多かった。パンクこそしなかったが、さっきヤバげなリム打ちもしてしまったように思う。急下りで連続ブレーキもかけていて、リムも熱くなっている。でも、いきなり破裂はないだろう、と思った。思えば今年5月、似たようなチューブ破裂は静岡県の富士見峠で体験していたが、単なる偶然だと思っていた。2回目だと、さすがにちょっと不安になる。

 幸い身体は無傷、自転車もダメージは無い。あまりスピードが出ていなくて、助かったのだ。
 2ペア持っていた新品チューブの1本を転用して、再び走れるようにはなったが、もう15:00。今日の目的地、村松近くの最後の沼越峠越えはあきらめることになるのだろう。津川辺りまで走れれば上出来かもしれない。とりあえず、徳沢で列車の時刻をチェックしないと。

  A地点からC経由でB地点へ 赤は本日の経路

 それから先の下りは注意してゆっくり下った。飯里、豊島と山里を抜け、驚くほど急に深く落ち込んでしまった奥川の渓谷に張り付いた狭い旧道を経由し、阿賀川まで降りる。
 15:40、徳沢着。列車は数分前に行ってしまった後で、次は1時間以上後だった。どうやら多少列車が増える津川辺りまで走らないといけない。まあ、この時間だとその辺りが多分切りも良いだろう。

  A地点からC経由でB地点へ 赤は本日の経路

 徳沢から先は、3年前も通った阿賀野川沿いの静かな道になる。そろそろ時間的に夕方の雰囲気が濃厚になっていたが、先のボリュームがわかっている安心感と、基本的に下り基調の道なので、そうあせらずにのんびりと進む。
 水量は多いがダムだらけでほとんど流れというものが無い、どろんとした阿賀野川の水面に近づいたり、岸辺の森の中を突っ切ったり、豊実辺りの静かな集落、日出谷から鹿瀬の川沿いの道を楽しみ、結局津川着は17:00。

記 2002/10/30

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