かなやま湖→(道道465号)幾寅
 →(国道38号)羽帯
 →(町道・農道)上美生
 →(道道55号)中札内
 →(国道236号)忠類
 →(村道)晩生
約152km

北海道Tour99 #3 1999.5/1 かなやま湖→晩生

帯広

上美生

中札内

忠類

晩成

羽帯

狩勝峠

新得  

かなやま湖


 5時頃に起きてすぐ窓の外を見たら青空だったのに、薄曇りになっている。7:30、かなやま湖発。今回は北落合ツアーはやめだ。第一、2日連続200kmをやってしまい、ちょっと疲れが残っているようだ。寄り道をしようという気が全然起こらない。

 幾寅は映画「ぽっぽや」の舞台になったようで、まあいかにもそれっぽい、いい場所を選んだものだ。昨日のかなやま湖保養センター、幾寅の町の至るところにポスターが貼られている。
 天気は太陽が見える位の薄曇り、風は向かい風。保養センターからはたかだか20km弱の落合まで1時間ちょっとかかってしまった。そのまま狩勝峠へ向かう。

 国道38号は、落合から狩勝峠頂上近くまでと新得への下り途中から、旧国鉄根室本線の経路変更により、昭和44年(だったかな)に廃止された区間「旧狩勝線」と併走する。この廃線跡が、30年経とうとしている今でもはっきりと跡がわかるほど残っているのだ。というより、かなりの区間で砂利が敷いてあって、道として前向きに整備されているようだ。だらだらした狩勝峠を進みつつ、この廃線跡を目で追うとけっこう楽しい。

 峠を進むに連れ、どんどん空の薄雲が晴れてきた。十勝側の天気はいけそうだ。標高が上がるに連れ、道路の両側には、どんどん残雪が増えてきており、周囲の山では、高山植物の新緑っぽい深緑が残雪とコントラストをなしている。

 峠頂上のドライブイン「あくつ屋」が見えてきた。道路から見下ろせる旧狩勝信号場跡の草地では、鹿がのんびり草を食べている。
 この信号場跡がまたなかなかの見物で、登ってくる本線・平坦なエリアの待避線・プラットホームやコンクリート水槽の跡・奥のトンネル(入り口が板で塞がれている)へ入って行く本線と、全部残っているのだ。レール・枕木・砂利は撤去されているが、かつてここに客車列車・貨物列車を引いた蒸気機関車がうようよしていた様子をかなりリアルに想像できる。「鉄」的な考察をすると、新得機関区の主力はD51だったようなので、峠越えのD51が三重連やらここに何両もたむろして、時には給水し、山間に汽笛を響かせ、煙をたなびかせていたのだろう。
 そんな事を想像しながら、シカを眺めてボトルの水を飲んだ。じっと眺めていると、かなり距離があるのにシカもこちらに気付き、草を食べるのを止めて動かずにこっちを見ている。

 9:45、狩勝峠通過。南富良野側と違い、十勝側には同じような標高でも残雪は見られない。下りは登りよりも少しは急なのだが、やっぱりだらだらした下りが続く。
 10:20、新得着。セイコーマートでちょっと休憩してから、引き続き交通量の多い国道38号を行く。向かい風の中を強引に進み、12:00、羽帯着。この辺りまで降りてくると、拡がる大地に直交したカラマツの防風林がどこまでも続く、十勝っぽい風景の中を走るようになる。
 空は雲が漂う程度の青空となっていた。今日は暖かい。風は多少強めの向かい風だが、走行に決定的に支障するという程でもない。

 羽帯からは国道から外れ、今度は農道を行く。
 上美生までの農道は、基本的に十勝平野の一番日高山脈寄りを走る道路である。ここも好きな道で、96年夏・昨年夏と来ているが、いずれも雨・曇りだった。3回目の雪辱戦の今回、初めて晴れの景色を見ることが出来た。
 期待に違わず、ぱあっと拡がった畑や牧草地の間の間を、カラマツの防風林がどこまでも続くという、典型的な十勝の風景を眺めながら走ることができた。右側は残雪の、というよりもまだかなり雪に覆われている日高山脈・鮮やかな青々とした牧草地、右側は緩やかに下りながら黒い畑・牧草地・明るい茶色のカラマツの防風林がひろがる十勝平野。どこまでも一直線の農道は、全体としては下りで大きくアップダウンしながら視界から消えるまで続いている。
 以前2回とも雲に覆われていた十勝の風景が、目の前に拡がっている!この道を通って、この風景が見たかったのだ。

 風は次第に強くなってきたが、えっちらおっちら先へ進む。

 山沿いに進み、西部劇の小さな町のような趣きのある上美生を過ぎ、15:10、昨夏にジンギスカンを食べた「白樺」の前を通過。14時台だったら絶対に入って食べたかったのだが、向かい風でペースが遅れ気味だ。第一、すでに本日の営業は終了している。客が殺到していつも昼過ぎにはお終いになるという 昨夏聞いた話は、どうやら本当のようだ。
 午後の時間が進むに連れ、横風はますます激しくなってきた。天気で風が 強くなっているのか、場所的な理由なのかはわからない。遠くの畑の土が 巻き上げられて、進行方向がかすんでいる。
 十勝の風物とも言うべき、カラマツの防風林の意味が身に浸みてわかった。

 中札内の少し手前で、国道236号に出た。当然のように横風は,真っ正面からの向かい風となった。進まない!ギヤを落として、42×17とか20とかでのろのろ進むのが精一杯だ。

 15:50、中札内着。中札内の町外れで道路は再びほぼ直角に曲がり、向かい風もほぼ横風、ほんの少し追い風に変わる。
 横風は、もはやちょっと気を抜くと自転車が流されるくらい強くなっていた。
 しかしながら、この辺りの国道の風景は悪くない。アップダウンは少なく、黒々とした土のうねの続く畑・一列に続く茶色のカラマツの防風林。広々とした、いかにも十勝という景色の中を、国道236号は通りぬけて行く。
 ほとんど横風かほんの少し追い風気味の強い風にうんざりしつつ、忠類への道を急いだ。道路の向きがほんの少しでも変わると、これは向かい風になるわけで…あまりそのことは考えたくない。まあ実際には、向かい風になるすれすれのところで、ほんのわずかに追い風方向の状態は続いていた。

 道路が急にうねり出し、周囲の畑が途切れ、道路は丘陵を下り出した。
 下ったところが忠類の街だった。16:50、忠類着。20kmちょっとを1時間。横風が鬱陶しかったが、とりあえずペースには何とか乗れているようだ。

 忠類からは道道319号・農道を通り、晩生へ向かう。車は一気に少なくなり、周囲の雰囲気も静かになる。畑で農家の方が農作業をしているのに目が行くようになる。
 夕方になり、風も急に収まってきたようだ。太陽が邪魔されない程度に雲の出ている空の下、赤くなり出した斜光線を浴び、畑・防風林・周囲の山々の作り出す、広々とした十勝らしい風景の中をのんびり走る。遠くには、まだ残雪をまとっている日高山脈・大雪山系が、相変わらずよく見える。実際には意外と海岸に近いという印象は全く無い。十勝まっただ中という雰囲気の景色だ。
 晩生まであと15kmを切っている。気分的に落ち着いたからかもしれないが、この十勝の風景の中をゆっくりと走れることが、この上もない幸せに思える。

 17:40、晩生着。宿の「セキレイ館」から車で晩生温泉に連れて行ってもらった。
 かつて国道336号・通称ナウマン国道が、延々とダートが続くことで有名だった頃から一度入ってみたかった、海辺の湿地帯の中の温泉である。茶色いお湯に浸かって、温泉のバルコニーへ出て夕暮れの太平洋を眺めた。
 寒い。気分に浸る間もなく湯の中へ戻った。上がると、休憩室でラーメンを食っている人が多い。昼の疲れもあり、強力にラーメンの塩辛いスープが飲みたくなった。

 3日間の疲れが溜まっている。ちょっと早いが、宿の歓談タイムを断念し20:30ごろに眠りに着いた。

記 1999.5/6

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Last Update 2002.12/17
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