豊郷→(国道235号)静内
 →(道道71号)20間道路
 →(道道71号)太陽
 →(農道・林道)新和
 →(道道71号)貫気別
 →(道道797号)振内
 →(国道237号)金山
 →(道道465号)かなやま湖
約203km

20間道路

静内

貫気別

新和

太陽

日高

北海道Tour99 #2
1999.4/30 豊郷→かなやま湖

振内

厚賀

豊郷

占冠

かなやま湖


 今日も晴だ。太陽光線が昨日焼けた顔にぴりぴりする。しかし2日目ともなると、雲はさすがにほんの少し端っこの方に出てきている。
 8:10、静かな牧場地帯にある「夢眠村」を出発。国道235号までの約3kmは朝の静かな牧場の中を走れる。こういう時は、のんびりとサイクリング気分でとても楽しい。

 96年に走った時は、大型トラックがばんばん爆走して危険でうるさくて単調な印象しかなかった海岸沿いの国道235号は、意外にも静かで見通しもよく、豊郷から先はそう丘に登ることも少ない、走りやすくて気持ちのいい道だった。交通状況と天気で、道の印象は変わるものだ。風もほとんど無いので、殺風景な砂浜とJRをすぐ脇に見ながら、海岸沿いの国道をあまり悩まずに走ることができた。

 海沿いの厚賀の町では、国道235号は少し高度を上げて市街地をバイパスする。こういう時は、絶対に町中の旧道を走ることにしている。
 厚賀は小さい町で、いかにも漁港らしい雰囲気が漂っている。ウミネコやら小さ目のカモメの飛び交う町外れ、防波堤と踏切が近い道端で一息付いた。

 9:35、静内着。
 道端のセイコーマートで補給。「北海道の伊豆」と呼ばれるらしい静内は、しかしながら休憩して発汗が収まると、ちょっとまだ寒いくらいだった。

 静内の町から道道71号を山側へ向かい、「日本一の桜並木」と呼び声の高い、「20間道路」へ向かう。
 「20間道路」というのは、農林水産省新冠種畜牧場の中にある約6kmの桜並木道で、中心の舗装エリア自体は片側1車線でそう広くないのだが、その両側に更に広いエリアの草地が、更にその外に約1万本の桜と、杉・シラカバが植えられている。桜から桜までを20間(=約36m)としているようだ。
 この道は、「日本の道100選」などという看板が出ていたり、静内からの道には「日本一の桜並木」などという看板が至るところに出ているが、その名に違わぬとてもいい雰囲気の道だ。私もこの道が大好きだ。北海道でも一番好きな道の部類に入る。
 今日は、まだ桜の花は全く咲いていないのは昨晩宿で聞いた通りだった。しかし、広い一直線の道路の正面には残雪の日高山脈、両側には鮮やかな新緑の芝生。穏やかな暖かい陽射しの中を、ゆっくりと20間道路の終点まで往復。最高の気分だ。
 奥のほうには、まだ花は咲いていないのに、仮設の店舗などが既に並んで準備中だったり、「家畜への伝染病防止のため花見客侵入禁止」などという看板も出ていた。

 11:10、出発。
 20間道路→太陽→新和→貫気別→振内と、国道へ出ること無しに、山間の裏道を行く。95年に一度、逆周りで振内から静内に向かったことのあるルートだが、のどかな農村やら山間のダートやらを縫うようにして走る、とてもお気に入りの道だ。難点は、あっち行ったりこっち行ったり、谷間を回り道しすぎること。特に今日は宿を発つのが8:00過ぎと遅かったので、ちょっと気は急いている。何しろこの先、かなやま湖まで辿り着かないといけない。といっても、急いでいてもそうでなくても、走れるスピードで走るしかないのだが…。

 農村やらダートやら、牧場の中やらを登ったり下ったり、次第に標高を上げる。昨日の道南と違って、多少標高を上げても道路脇やら近くの山肌の残雪は全く無い。

 13:45、太陽→新和のダート林道で、谷間を登りきって牧草地の開けた中を走る場所があり、ここ以上の場所はないと思われたので昼食にした。
 目の前には青々とした牧草地・振り向くと芽ぶき始めたカラマツ林、手前の山の奥の方には残雪と山肌で白黒模様の幌尻岳がそびえている。誰もいなさそうだったので、「おおい!」と叫んでみた。山びこが、3秒以上遅れて帰ってきて、さらに山間に響いていくのが聞こえてくる。面白がって何回かやってみた。
 道端のワイヤーフェンスに腰掛けて、のんびりとした気分になって、おにぎりを食べたりボトルの水を飲む。こういう時、目の前の最上の風景をぼうっと見ながら、しかし頭の中では普段のことをぼんやり考えているのが好きだ。
 多分貧乏症なのだとも思うが、仕事・会社・離れて暮らしている家族たち・友人、趣味やそういう普段の生活のことが次々と頭に浮かぶ。結論が出ることもあるし、基本的に結論なんか無いような類の話だったりもする。
 ふと、時計を見て、意外と時間が経っているのを知る。

 その後もちょい坂やダートを東西方向にジグザクに進みながら、畑・牧場・林・追い風・向かい風の中を貫気別に到着。道道797号線の短いがけっこうきつい峠道を越え、15:50、振内着。到着時間が予定よりかなり遅い。
 セイコーマートがないので、町の商店でカロリーメイトだけ買い、そのまま国道237号へ進む。

 国道237号、通称日高国道(とツーリングマップルには書いてあった)は93年、95年と過去2回逆向きに走ったことがある。下りの時のほこりっぽい谷間の一本道という印象とは違い、正面に山が見えるというだけで、登りの国道237号は同じ道なのにえらく山間の雰囲気があり、走る気分として「おお、山だ!」とけっこう気合が入る。しかし、木材を運ぶ異常にでかいトレーラーが時々猛スピードで走り去って行くのには、かなり閉口した。まあ、連休中にもご苦労様、大変だなとも思った。
 標高が少しずつ上がるにつれ、周囲の林は杉林からカラマツへと変わっていった。朝から考えて、今日はおにぎり4個しか食べていない。それ位、走った道には何も無かったのだが、さすがにそろそろ空腹を感じてきた。大体、空腹を感じるくらいになると危険なのだ。
 「腹が減る前に食え!」が私のツーリングの鉄則である。しかし、何しろ適当な補給ポイントが無い。水のがぶ飲みにも、そろそろ限界が来そうだった。

 17:15、日高の国道274号との交差点のセイコーマートに駆け込み、店内調理のカツ丼弁当やら鳥の唐揚げやらにかぶりつく。腹が空ききっていたため、なんか腹の中で納まりが悪いような気もするが、強引に食うしかない。
 それより、腹をある程度満たしてよく考えると、時間的にやばい。今日も確実にナイトランだ。

 17:50、夕暮れの日高峠を登り始める。国道274号との交差点から、すでにもう登りが始まっている。
 日高で交差した国道274号が、ダイナミックな曲線を描きながら山間へ消えて行くのを眺めながら、こっちの国道237号も前回96年通った時と比べて、拡幅やらルート変更が進んでいるのに驚く。えっちらおっちら登って下って、しばらく占冠までだらだらした下りを急ぐ。が、もうすっかり太陽の沈んだ占冠の街は、そろそろ薄暗くなっていた。
 19:00、占冠発。金山峠へ、いよいよナイトランだ。
 昨日と同じく、月の明るい夜だ。峠道の夜はちょっと不安で、鹿(だと思う)が山の斜面の茂みで鳴いているのになんとなくびびったりする。時々川がばしゃばしゃ言う。やはり鹿クラスの動物が暗い中で動いているのが見える。明るい月・星空・周囲のぼんやりと照らされている山々や沢を見ながら、ギヤを落として、ひたすら漕ぎつづける。
 やがて坂がどんどんきつくなり、金山峠だ。トンネル入り口から、ナトリウムランプのオレンジ色の光が見えると、ほっとする。

 金山の市街地からかなやま湖畔まで、激坂を登らないといけない。200km近く走ったあとで、この激坂はキツい。86年に通って以来の道で、当時と違ってコンクリートのスノーシェルターが取り付けられていたこの激坂を、ついに自転車を降りて押してしまった。昔は降りずに登れたのだが、21歳・前の日美瑛ブラブラサイクリングの私と、連続200km走行後の34歳の私では、むべなるかな、というところだろう。自分では、けっこう簡単にあきらめが付いた。

 ぼろぼろになりながら何とか湖畔の道路に登り着いた時は、さすがにうれしかった。
 20:45、去年の夏も泊ったかなやま湖保養センター着。明かりの下で食事ができることが、とにかくありがたい。

 昨夏のツーレポでは書かなかったが、前泊ったときは隣の部屋が若夫婦で、事が早い時間からいきなり始まってしまい、音が筒抜けなのでTVをつけるタイミングに困った物だった。今回は、若夫婦もいないようだし、隣の音も聞こえにくい部屋のようだ。でも、別に盗聴目的でここに泊ろうとしたわけではない。
 まあ、とにかく疲れた。明日、晴れたら北落合に寄りたい。そうするとまた、結構な長丁場だ。今日もツーレポはさぼることにした。

記 1999.5/5

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Last Update 2002.12/15
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