北海道Tour24#5 2024/8/9(金)民宿地平線と開陽台

A地点からC経由でB地点へ 赤は本日の経路

区間1 (以上#5-1)
(以下#5-2) 区間2 (以上#5-2)
(以下#5-3) 区間3 (以上#5-3)
(以下#5-4) 区間4 (以上#5-4)
(以下#5-5) 区間5  km 
RIDE WITH GPS

ニューサイ写真 RICOH GR GR18.3mm1:2.8

文書タイトル

赤は本日の経路 濃い灰色は既済経路と航路 ------------------------------------------------------------ --> ■

 夜が明けた。牧草地上空はやや霞んじゃあいるものの、青空が拡がっている。昨夜降ったらしい雨のせいか、風景は全体としてしっとり潤い、瑞々しく明るく爽やかな印象だ。しかし、空の下側にはやや濃いめの雲がどしっと居座っている。それは密実に厚くはっきりと、決定的にどす黒い。多分中標津空港の辺り、いや、開陽の交差点辺りから雨っぽくても全く不思議は無いぐらいに。そして天気予報は昨夜と変わらず、中標津は雨ということになっている。

 これだと全く出かける気がしない。7月に202kmコースを再訪した感覚がとても良かったので、今日は初の逆回りを試してみるつもりだった。あの辺はどんな風景に見えてどんな印象になるんだろうと、いろいろと想像もしていた。
 出かけられないのはちょっと悔しい。まあしかし、昨日のうちに決めたことだし。
 仕入れておいた朝食物資を食べてぼんやり過ごす。時々伺う窓の外、空の下に溜まっている濃い雲がどす黒いのは変わらないまま、辺りは段々明るくなり、時間は過ぎていった。

 青空は見えるものの空の下の方がどす黒いと言う状況は変わらないまま、7時頃。相変わらず牧草地上空は明るいまま、下部のどす黒い部分が何となく小さくなっていることに気が付いた。何となくというより確実に全体的に小さく、色も薄くなっていると言わざるを得ない。そしてその部分は、8時頃には更に小さくなってしまった。
 もちろんその部分が結構近くの場所の上空であることは判っちゃあいる。しかし今、天気予報だと中標津は雨ということになっている。どうも開陽の現実は、間違いなく中標津町全体の天気予報より晴れているようにも思われる。うーん。そして9時頃になっても青空は変わらず、下部の雲はどんどん小さくなってきていた。
 この後午後には晴れることになっている。降水確率は50%ではあるものの。でも、民宿地平線から開陽台まで3km。それなら例え雪が降ってもすぐ帰ってこれる。今年も開陽台に行ってみよう。それぐらいは問題無いだろう。
 というわけで9時半頃からのんびり自転車を組立開始。望遠ズーム運搬用にサイドバッグをリヤに1つだけ付けておく。

 10:30、民宿地平線発。風がかなり強い。見上げる青空には雲が、次から次へびゅんびゅん飛んで行く。そして陽差しが現れると、途端に辺りが暑くなる。外に出てみたらこれはこれで厄介な天気だ。もし別海町のまっただ中でこの天気だと、間違い無く路上は更に暑いだろう。今日別海町でこの天気かどうかはわからないものの、強風や天気の急変など、厳しくなる要因しかない。202kmコースなんて出かけなかったのは、意外と正解だったかもしれない。

 途中で町道北19からダート町道に入り、私的撮影ポイントを訪れておく。
 ところが、ダート東側区画のカラマツ林が、1区画丸ごと伐採されて茂みだけになっちゃってるのには驚いた。

 開陽台入口まで町道北19が登ってゆくのが、何とばっちり見渡せる。向こうからもこちらがばっちり見えるのだと思われる。初めて訪れた1986年2月以来、初めての事態だ。一般的にもここは、町道北19が波打つ丘をカラマツ防風林の中一直線に貫いてゆくのを見通す名所になっているので、ここの風景が変わっちゃったことは、開陽台ファンにとって2024年のトピックスだろう。でも、確か7月の訪問で気が付いていたことをやっと思い出した。

 私的撮影ポイントで写真を撮っている間、雲は素速く動き切れ始めていた。青空の部分が一気に増え、厳しい直射日光が雲に隠れること無くまともに真上から照りつけ、明らかに出発時点より辺りが暑くなってしまった。

 開陽台入口への一登りは、予想以上に堪える。それは約200kmを走った後の7月以上に。あの時は夕方だったしな。入口手前の地平線が拡がる場所で展望を口実にひとまず脚を停め、水を飲む。汗がだらだら出てシャツもレーパンもびしょ濡れだ。これはかなり暑い。

 10%区間は一気に登ってしまおうとしたものの、やはり暑い暑い。途中足を着いて水を飲むのが2回。なんとなく頭がぼうっとしてきた。これはヤバいかもしれない。開陽台に着いたら急いで展望台に駆け込んで、アイスか何か喰う必要があるな。

 11:30、開陽台着。
 自転車をフェンスに立てかけ、水を一口。フロントバッグを外してサイドバッグの望遠レンズを取り出し、ワイヤーロックをかけて展望台へ。この段階で頭がぼうっとして、やや一杯一杯の状態になっていた。かなり汗が出て全身びしょびしょなことは感じられていた。未だ汗は出ているのでまだ危険という程じゃない。
 階段を何とか登って展望台の「ラ・レトリ」へ駆け込み、おじさんにとりあえずソフトを所望。食べ終えて即お代わり。やっと身体中から熱が抜けてゆくのを感じることができた。しかし身体は未だだるい。とりあえずお昼なのではちみつドッグをいただく。冷たい氷水を飲み干し、何とか身体が落ちついてきた。やばかったな。やはり晴れの根釧台地は怖ろしく、59歳のツーリストなんて弱々しいもんだ。いや、これはおれだけの問題かもしれない。それでも旅は楽しいのだ。
 汗で全身びしょびしょのまま、次は展望台へ。

 今日の遠景はかなり遠くまで澄んでいる。この点だけで言えば、雨の判断については、現時点だけなら間違ったと言わざるを得ない程だ。一方で風は強い。根釧台地の真ん中で揉みくちゃにされそうだ。そして開陽台でこの暑さなら、別海の真ん中では更に暑いだろう。それなら総合的判断としては、出かけなくて正解だったとも思える。それに民宿地平線籠城だってけっこう喜んで楽しんでいる。今日の運休に後悔はしていない。雨に関して完全に予想しきれていなかったことが悔しいのかもしれない、自分は。

 でもそれだけのこと。開陽台は変わらず、今自分の前にある。いろいろあったものの今回もここに来れた。そのことを感謝していればいい。などと思いながら根釧台地を眺めていた。

 展望台で5人グループの学生さんから声を掛けられた。声を掛けてくれた方はツーリング車に乗られていて、ランドナーに興味があるとのこと。なるほど、見下ろす駐車場の私の自転車近くに、5台の自転車が停まっている。光栄だ。

 皆さんは明日明後日羅臼に向かい、全体で合流されるらしい。この後の天気を心配されていた。他の道の話、ランドナーでのツーリング話をお話しするうち、皆さんは京都のR大学の学生さんであることがわかった。結婚前の母が秘書を勤めていた、その大学の名誉総長先生のご芳名もご存じで、夕方母に報告できたことはとても嬉しいことだった。


 13:10、民宿地平線帰着。
 石川さんからお声がけいただき、今日もドライブに連れて行っていただける事になった。行き先は何とばりばりの新作、北太平洋コース。夕食を富貴庵でいただくことを考えると、17時半までには中標津市街の保養所温泉に戻りたい。この時間なら何とかそれが大丈夫かもしれない、ということのようだ。
 GPSとカメラを忘れないように持ち、13:50、民宿地平線発。

 俣落から当幌、豊原、そして別海町の道道123起点へ。繋ぐのが難しい中標津町南部の南北方向を、既知と未知の風景とともに自由自在に渡り、繋いでゆく。
 道道123はかつての私の私的幹線だ。久しぶりに通れて懐かしい気になるが、実際には風景を連続しては憶えていない。しかしこの辺りの、印象というより先入観として捉えている雰囲気が、風景の実態として次々現れた。あらためて自分の根釧台地の印象は、この辺りのちょっと捉え所の無い漠々とした拡がりに影響されているのだと思わされた。
 一貫して風はかなり強い。出かけたら難儀しただろうということがよく理解できた。

 上風連から南下しても空は晴れていたが、国道44手前まで南下したら、突然とろんと湿ったような濃い色の低い雲が現れた。根釧台地南部のいつものパターンで、間違いなく海岸部の霧だ。案の上その下、いや中に入った途端、気温は5℃以上ぐらい下がり、辺りはどんより薄暗い濃厚な霧に包まれてしまった。視界は100mぐらい、近くの路面と道端の茂み以外、風景が全く見えない。

 久しぶり(多分12年以上ぐらい来てないかも)の姉別駅で休憩後、引き続き牧草地から台地縁の森へ進み、見覚えのある切り通しで最後の一下り。いよいよ恵茶人海岸だ。しかし海岸際の道道142降りても、霧で景色がほとんど見えない。姉別から下って来た道と、何となく記憶がある道端の風景じゃなくて雰囲気から、海岸に降りたことが判っただけだ。
 恵茶人海岸に来ることができていることは間違いなく嬉しい。思い出すと、10年以上ぶりぐらい(因みに2012年以来12年振り、前回も太平洋は霧の中だった)だ。久しぶりの訪問で記憶がおぼつかないので、霧の中に現れ過ぎてゆく風景の順番は何だか新鮮に思える。いや、何か新しく造られたようなものは無い。何か道端の番屋や住宅で、無くなってしまったものはあるのかもしれない。
 海岸区間が意外と短いのは、記憶通りだった。再び台地に登り、農道と道道で厚床へ。初田牛経由だと思ったら、厚床へ直接向かうとのこと。そうそう、確かそういう道もあった。しばらく来ないうちに道も忘れかかけてるな、と反省する。
 国道44をクランク経由、厚床の交差点から国道244へ。1986年の初訪問時この交差点で感じた、いよいよ根釧台地に突入するという緊張した気分が、その後40年近くの間に何度も訪れても、未だにここに来る度思い出される。
 次第に赤く穏やかになってゆく陽差しの中、奥行臼から国道244は低地の森を抜け、オホーツク海沿いへと北上してゆく。かつての印象より車がかなり少ないことは大変意外だ。昔通った時より明らかに少ない。国道だし、過去何度か通って風景については判っているという印象があった道なのだが、今回改めて良い道であることをよく理解できた。さすが石川さんコースに入っている道である。

 海岸沿いに出てから、道はオホーツク海沿いに更に延々と続いた。この長い長い距離感を、私はすっかり忘れている。途中現れる風景や、かつて何度かお世話になった元まきばの宿(落ち着けるいい宿だった)を眺め、そこから標津までがまだ意外とある。そう言えばかつてまきばの宿に夕方向かったときにも、この距離感覚に戸惑った、というより甘く見て夕方が夜になってしまったことを思い出した。

 というわけで、ドライブであってもとても充実した根釧台地訪問ができたのだった。
 17:30、中標津保養所温泉着。お風呂に入って18:15、富貴庵で夕食。今日も富貴庵はたっぷり混雑していて、石川さんをお待たせしてしまった。

 明日の天気予報は中標津町、別海町で終日曇りの降水確率20%。午後は16時から弟子屈町で雨予報、降水確率は15時から30%だが、何とか走れそうだ。
 19:10、富貴庵発。セイコーマートに寄っていただいて明日の朝食と補給食を仕入れ、19:40、民宿地平線着。雨運休だというのに、充実して目一杯楽しめた1日だった。石川さんには感謝の念に堪えない。

記 2024/11/18

記 \d\d\d\d/\d/\d

#5-2へ進む    #5-1へ戻る    自転車ツーリングの記録へ    Topへ

Last Update 2025/2/3
ご意見などございましたら、E-Mailにてお寄せ下さい。
Copyright(c) 2002-25 Daisuke Takachi All rights reserved.