開陽→中標津→上春別
(以上#-1)
(以下#-2)
→豊原→中西別→泉川
(以上#-2)
(以下#-3)
→萩野→多和平
(以上#-3)
(以下#-4)
→南弟子屈→弟子屈→札友内
142km
ルートラボ
もう身体がツーリングの1日に慣れたのか、4時の2〜3分前に目が覚めるようになった。そして流石に昨日丸1日運休したためか、疲れを全く感じない。
しかし、今朝も外は濃霧で雨だ。窓を開けると牧草地にさーっと雨の音が細かく響いている。そして寒い微風が部屋に入ってきた。見た瞬間、早朝の開陽台訪問は無しに決定。結局今年は開陽台へは、昨日の車による訪問1回だけになってしまったと思った。
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5:35、民宿地平線発。
女将さんが宿の外で、そして石川さんが小雨なのに町道へ出て、両手を大振りして見送ってくれた。「また来年来ます」と言って出発したものの、その後9月に中標津再訪を敢行、嫌と言うほど晴れの開陽台を楽しんだりのっぴきならない自体になった挙げ句石川さんにかなり凄まじくお世話になるとは、この時はまだ思っていなかったである。本当に。
今日のコースは本来一昨日10日に予定していたもので、その分今日予定していたコースは一昨日に通ってしまった。概略は昨日車で連れて行った頂いた根釧台地100kmコースを逆回りで中西別まで経由、昨日予定していた202kmコースのバリエーションルートで泉川へ大回りした後標茶・弟子屈の谷間に降り、9日に泊まった札友内「鱒や」へ出戻りする。
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まずは100kmコースの逆回り。下手の道道150から見上げる開陽台方面は、やはり灰色の暗い雲の中だった。それが俣落から南へ向かうとすぐに雨が止み、路面が乾きだした。
昨日もそういう天気の変化があった。やはり開陽は山沿いなので、下手より雨が降りやすい場所なのだろう。だとすると、この先中標津から南では、意外に雨は降らないのかもしれない。
6:30、中標津外れのセブンイレブン着。4時過ぎからセイコーマートで買った食事を摂ってはいる。しかし、このコンビニが少ない根釧台地でのコンビニ、この際セイコーマートじゃなくても、そして缶コーヒーぐらいしか用事がなくても、休憩しておくことにする。それにちょうど再び空が暗くなり、雨粒もぱらつき始めているので、雨具を着なければならない。
100kmのコース上では本来終盤に登場するこのセブンイレブン。202kmコース上にほとんど商店の類が無い反省から、石川さんは100kmコースではコンビニと自販機を経由するコースを考慮したとのこと。202kmコースならコンビニを追加するならどこがいいだろう。別海か、西春別か。個人的には9時頃通過する上風連のAコープに、もう少しお弁当デリカ系が充実してくれると全て解決するのだが。等と妄想する。
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中標津から先、100kmコースは標津低地のアップダウンへ。
道の位置は202kmの1本内陸側というだけなのに、202kmのような広々とした空間感覚と展望が無く、地形の掘りが深くて谷間と台地上は別の空間であり、経由する道の坂やカーブは厳し目だ。
100kmコースは202kmコース同様、単にのんびりした走りやすい道を組み合わせたということではなく、地形図だけでは読み取りにくい、エリアの特徴がよくわかるようになっていて、更に202kmを訪れていても、新たに100kmコースも走らなければならないように組まれているのである。
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ある程度南へ進んだところで、コースは南下方向から西向き方向へ。
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すぐに根室から中標津への幹線ルート、道道8をクランク経由する。中標津が大きな街になり交通量が増えてしまい、通るとなるとかなり埃っぽい道なのだが、今日はまだ知らない道と風景を進む途上の、ランドマークとして頼りたいような存在である。道道8は根釧台地東部と中央部の境界として自分が捉えていることにも改めて気が付いた。
事程左様に、この辺りを東西方向へ向かうという発想が自分に無いことを、昨日も感じさせられた。それはこの辺りの東西両端、虹別にも別海・中標津間にも、目的地となり得るような目立つ場所が無く、最短経路として選ぶ道にはならなかったからだ。その結果、虹別・別海・中標津間の南北方向にはけっこうな密度で既済経路があるのに、東西方向の道はほとんど訪れたことが無い。
道道8から先、100kmコースは農免農道、町道クラスを乗り換えつつ、森と牧草地、牧場を緩やかで適度な起伏とともに引き続き西へ。もう少し西側、計根別・中西別の完全にフラットな地形とまた異なる表情での地形で、中標津から多少別海町らしい雰囲気に変わりつつあるように思われる。道幅は台地上に続くこの辺の道道に比べ、程良く狭く程良く時々曲がり、かと言って走りにくさは皆無だ。
いつの間にか次第に明るくなっていた空の中に、部分的ではあるものの青空が現れ始めた。そして、やはり時々ではあるものの影ができるぐらい周囲は明るくなり、更に日差しが一瞬出たりもした。しかしまた水滴がぱらつきはじめ、結局その後札友内まで晴れることは無かった。
豊原の郵便局、集会所には自販機がある。202kmコースでは自販機が少ない、という要望が多く、100kmでは補給場所を考慮してコースを組んだとのこと。そもそも根釧台地では自販機そのものを探すのに一苦労だ。今のところ水は充分に持っているしあまりその必要は無いのに、いつもの缶コーヒーで表敬訪問しておく。
集会所の脇には小さな広場がある。何とは無しに小学校っぽい雰囲気が漂う場所で休憩していると、昔のサイクリングみたいに小中学校で水を貰って小休止している気分になる。そして、昨日雨で中断された今回のツーリングを再開できている、そんな気分にもなれていた。
道が養老牛から下って来た道道150に当たって南へ曲がり、すぐに町外れに入った。
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9:05、中西別到着。ここにはセイコーマートがある。さっきセブンイレブンで休憩したものの、セイコーマートには寄っておかねばならない。
しかし実際にはあまり用事は無い。缶コーヒーだけ飲んで地図確認後、9:20、中西別発。町の南側には1989年に訪ねたことがある、今は亡き父の(1989年の段階で)古い知人の家がある。あれからもう30年近く経ってしまっている。そんなことを思い出していると、そのお宅に小学生らしい少年が入っていった。確実に私が訪問してから20年近く経って生まれたと思われる少年であり、改めて年月の経過に驚かされた。
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中西別で今日のコースは100kmコースから外れ、より南側の202kmコースへ向かう。
中西別の北側よりやや掘りが深い地形がしばらく続く。周囲の雰囲気も相変わらず基本的に人里の牧草地ではあるものの、牧草地と入れ替わりに現れる森の部分の割合が明らかに増えていた。
GPS画面に202kmコースのトラックが現れ、トラックに従って202kmコースへ。
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別海町営育成牧場、一面伐採されたカラマツの植林、拡がる牧草地も見覚えがある。昨日202kmを走りたかったと、改めて思う。
西春別では202kmコースの少し西側、バリエーションルートとしてトラックを描いてみた脇道へ向かうのを楽しみにしていた。ところが、トラックの線は砂利のやや深そうなダートへ続いていたので、そこに入るのは止めておく。
やはり202kmはかなり考えて選ばれた、いいところを進んでいるのである。
国道272を越えてやっと舗装分岐が現れたので、ここぞとばかりにそちらへ。
道は国道272の車の轟音が時々聞こえるぐらいに付かず離れず並行し、泉川で以前通ったことがある根釧台地最外周の道を経由した後、再び未済経路区間へ。
202km外側のバリエーションルートのつもりで経由してみた脇道だった。
しかしルートラボでやや無責任気味に拾ったトラックは、やはり終盤でダートに変わった。
地形図に建物記号が描かれていることから、その辺りで舗装に替わることを期待していたのに、何軒か断続して登場したそれらの牧場農家を過ぎても道はダートのまま。
結局最後に道道951に合流するまでダートのままだった。
釧路へ続く谷間と根釧台地を結ぶ道道13は、根釧台地の西外周の一部をなしている。根釧台地内で完結する他の道道とは少し雰囲気が違う幹線道道でもあり、朝に越えた道道8よりは交通量は少ないものの、やはり幹線道路として自動車皆無というわけではない。
道の雰囲気が変わる道道13で、今日の根釧台地のパートは一段落ということになる。この先、南側の標茶へ降りるか、北側へ向かって多和平へ寄ってから弟子屈への谷間に降りるか、道道13へ合流した段階で決めようと思っていた。
今、時間はまだお昼過ぎ。迷う余地無く15年ぶりの多和平へ向かう余裕はある。そしてこの辺りで何か昼食を仕入れようと思ったら、標茶のセイコーマートか虹別のセブンイレブンか、多和平のレストランしかない。
セイコーマートには食べたいものはいっぱいある。しかし、3日前からセイコーマートをめがけて休憩したり買い込んだりしているし、昨日買ったクロワッサンもまだ2個もある。ここは多和平が何かありつくのに一番近くて圧倒的に美味しそうだ。それに16年前、私はここのレストランで大分悩んで、やや高い(と当時は感じていた)ビーフシチューを諦めたことを未だに後悔している。本当に後悔しているのだ。
多和平方面へは、道道13最高地点のスノーシェッド先の交差点で西へ向かう。最高地点まで登らなければならないのがやや億劫ではあったものの、すぐ先だしせいぜい50mも登らない。
それに今日の202kmコース最後の区間である。今回は根釧台地とここでお別れだ。
多和平のすぐ下へは、丘陵の谷間にこの辺りでは普通の登りが続く。展望はそう開けないものの、隆起する丘の眺めがダイナミックに変化して、茂みの中よりは風景には退屈しない。
この道はここ数年の間に通っていて、そういう雰囲気はだいたいわかっていた。しかしレストハウスへの分岐から先、取付部の登りは15年振り。短いものの厳しい坂は開陽台の坂といい勝負、という記憶があった。
実際には少しだけ取付部が厳しかっただけで、意外な程あっけない。これなら開陽台そのものというより町道北19の坂の方が厳しいぐらいだし、今までももっと気軽に立ち寄れば良かったと思えた。全く記憶はあてにならない。
13:15、多和平着。
開けた根釧台地から丘陵部へ来たためか、道道13の辺りで既に再び顔面に水滴が感じられ始めていた。それ以上に、急に風が冷たくなっている。明らかにどんどん気温が低くなっているようだ。レストハウスで温度計を見ると、なんと12℃。そりゃあ確かに寒い。私的レーパン限界温度の11℃までぎりぎりだ。あのくっそ暑い東京を羨ましいとは思わないものの、暑いのってどんな感じだったっけ、などと思い出したりした。
レストハウスの軒下デッキ上に自転車を停め、フロントバッグと望遠レンズを持ってまずは丘の上の展望台へ。
ぐるっと見回す360°。北部に間近な摩周の山々を除き、丘陵地帯の丘の稜線頂部が地面と空を区切っていて、その境界が意外に近いことが、開陽台との大きな違いだ。多和平の展望は周辺の丘陵であり、開陽台で根釧台地の彼方やオホーツク海まで見通す展望とはまた違う味わいではあるものの、根釧台地の拡がりと、大地と相対する空が充分に感じられる。
標茶町境界看板のカントリーサインには、この多和平展望台が描かれている。中標津町のカントリーサインも同様に開陽台の建物で、この2つは根釧台地周辺では2大展望台と並び称されることが多い、と私は理解している。そしてこれだけの酪農地帯として隣り合う2つの町のシンボルとして、丘陵を眺める展望台が掲げられていることは興味深い。ちなみに根釧台地には、やはり隣の別海町の新酪に展望台がある。
ただ、今日は低く重く暗い雲が、視界を取り囲む丘陵の稜線ぎりぎりまで垂れ込めて、今にも落ち始めそうだ。そして風は強く、寒い。展望台で少し眺めを楽しみ、開陽台で使ってみたかった重い望遠レンズを使ってみた。わざわざこの望遠レンズを持ち運んできた目的は、ある程度果たせたように思えたので、次のミッションに移ることにした。
レストハウスの建物にはあまり記憶が、いや、どういう姿だったか全く記憶が無い。何しろ16年振りなのだ。しかし自分のホームページの写真は時々眺めていて、その写真とあまり変わらないイメージであるような気はする。
店内も全く記憶が無い。そもそも食事メニューが無くなっていないかやや心配だったものの、調べるのも億劫だった。まあ最低限、パンぐらいは食べられるだろうと思っていたし、何も買えなくてもまだパンを持っている。実際には、相変わらずレストハウスで食事が食べられことは大変有り難く素晴らしい。しかも15年前よりメニューはややパワーアップしているっぽい。何を頼むか悩んだ記憶が無かったからだ。
シチューその他のバリエーション、ジンギスカン焼肉を始めなかなか魅力的なメニューが多い。中でも「標茶牛トマトシチュー」が15年前のビーフシチューに相当すると思われた。しかも身体が冷えていて、温かそうなシチューはとても魅力的に思えた。
ライスとサラダを付け、自主的にフランクフルトを追加。大変美味しく、ひとつひとつの量が多く、たっぷり感と充実感に満ちていて大満足。
開陽台で果たせなかったものを、同じ展望台の多和平で果たせたことがなんだか面白い。旅先でイメージ通りに事が進まなくても、その時その時でできることを楽しんでしまえばいいのだ。そんなことを感じられた、実り多い多和平再訪だった。
暖かい昼食を食べて多少やる気が出てきた。14:10、多和平発。
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標茶手前まで南下して、また弟子屈まで北上するより、標茶より弟子屈には近い南弟子屈で、弟子屈への谷に降りることにした。その方が国道399を通る距離が少しでも少なくて済む。多和平から南弟子屈へは、地形図上でショートカット気味になっているのも魅力的だ。
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その代わり、丘を一つ越えなければならない。
たかだか標高差50mぐらいのこの丘越えは、この手の裏道系農道にありがちなかなりキビシイ坂だったものの、一度登ってしまえばもう車が少ない静かな裏道だけで南弟子屈の国道399まで下ってしまえたのは有り難かった。
ルートラボで組んだ弟子屈へのトラックは、市街地への登りが楽な、一昨日渡った桜橋へ続く広域農道で組んでいる。その道へ向かうには、国道399を合流点から少し南に戻り、釧路川対岸へ渡る必要がある。
一方、少し国道399を南に走り始めてみれば、交通量は充分に少ない。そして広域農道では、ほんの少しではあるものの台地上への登りがある。これならどうせもうあと9km、直接弟子屈へ向かってもいいんじゃないのか。
と思い直し、再び北へ折り返して弟子屈へ。
しかし弟子屈弟子屈手前、国道244との合流点まではほんの少しだが登りがあり、やはりいくら何でも国道、広域農道より交通量は多かった。総合的に考えて、やはり次回この経路を通る時には、広域農道を通らねば。
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15:05、弟子屈セイコーマート着。
明日の宿は遠軽手前の生田原。今のところ天気予報は夜明けだけ雨、9時から15時まで曇りが続くことになっている。根釧台地からから北見地方へ向かう経路として毎年通っている津別峠は、今年は屈斜路湖側で崩落通行止めだ。このため、明日は問答無用で美幌峠を経由する必要がある。そして晴れじゃなければ、単純に大回りな上にダート経由となるチミケップ湖は省略するつもりだ。美幌峠なら標高は400m台後半、早朝雨でも峠を下る頃には雨は上がるだろう。距離も登りも全体的に穏当なコースになる。
実際の天気が悪化して輪行になる場合は、7:25と9:11摩周発で釧網本線、石北本線で生田原に向かうことができる。やや驚いたのは、この2本でないとその日のうちに生田原に着けなくなっていたことだ。それ程、JR北海道の列車は削減されてしまっていた。よく考えると去年だって生田原に向かう鉄道パターンは朝昼午後の1日3本だった。それが2本になっただけの話なのかもしれない。いやしかし、公共交通機関として、JR北海道シンパを自認する私ですらもうJR北海道のローカル線は壊滅寸前なのではないか、と実感させられる出来事だった。
とりあえず明日のところは、自走にしても輪行にしても普段通りの早朝出発となるため、朝食をここで買い込んでおかねば。更にここでもう使わない根釧台地の地形図を送らねばならない。セイコーマートの袋に入れて地形図を送ってもらうお願いは、3年連続で同じ店員さんがもう覚えていて下さっていた。
15:45、弟子屈発。ますます寒くなっていた。空の雲も暗く重い。夜に降る予報になっている、雨が降り始めるのはもう時間の問題であるように思われた。今日はこの時間に宿に着いてしまう行程で正解だった、と確信できた。
16:05、2日ぶりの札友内「鱒や」着。
連泊の常連さんとも再会できたが、またもや明日は早出なので、早寝せねば。
記 2017/10/29
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