毛木平から山道区間開始 カラマツの明るい森へ RICOH GR GR18.3mm1:2.8

2014/10/18 十文字峠#1
信濃川上→十文字小屋

信濃川上→(県道68)梓山
→(農道)毛木平→十文字小屋
22.4km   RIDE WITH GPS


 2014年9月下旬。須藤うどすさんから、「十文字峠に行きましょう」とのお誘いを戴きました。
 十文字峠。何年か前から行ってみたい峠の一つだったのですが、「興味有るけど、ハードそうだしなー、うーん」等と三段活用しつつ何となく流される日々が続いていました。これは渡りに船、二つ返事でお願いしました。
 その後台風19号襲来による日程変更(によるあるびさん参加断念)、私的には直前2日間の突発業爆(&事前準備不足に起因する睡眠不足)、そしてそして当日の新幹線遅延など幾多のハードルを越え、2014年10月18日9:44、須藤さん、としさん、そして私の3名は、信濃川上駅に辿り着いたのでした。

信濃川上から梓山、毛木平経由で十文字小屋へ 赤は本日の経路

 10時10分、信濃川上発。原の野辺山方面への分岐にあるスーパーナナーズは、この道を訪れるサイクリストに道中のオアシスとして有名です。県道68のこちらから眺めると意外にもさりげない店構えですが、毎回見ているだけで楽しい新鮮な高原野菜、美味しい弁当総菜系が充実。我々も立ち寄り、今日明日の補給物資や夜のネタなど購入します。
 意外にも一番入手したかったおにぎり系がやや不足していて、手持ちぶさた気味に店内をふらつくことになりました。でも、カップワイン(そういうものを初めて知りました)等も売っていたようで、あとでもう少し気を回せば良かったなという気もしました。
 店外には飲料水と札が貼られた給水栓があり、薪材としてクヌギ・ナラ材が山積みされていました。おそらくキャンプ場利用のお客さんが多いのでしょう。

 10:45、ナナーズ発。
 今日の川上村は真っ青な青空の下。眩しい秋の陽射しの中、千曲川沿いの川原のススキは真っ白に輝き、谷間を囲む山々は紅葉が絶好調に推移しつつあります。
 さっきナナーズに寄ったばかりですが、やはり寄らなければならない梓山のデイリーヤマザキにも立ち寄っておきます。ナナーズでも見かけた店内ポスターの川上村のゆるキャラ「レタ助」が大変愛らしく、レタ助グッズの在庫を尋ねてみますが、生憎今あるのはレターセットだけとのことでした。

 11:25、梓山発。
 いつもの三国峠への道から分岐し、いつかは足を向けてみたいと毎回思っていた「千曲川源流」方面へ入り込みます。取付の激坂、更に続く登りで、三国峠へ向かう村道を対岸に眺めつつ、ぐいっと一気に100m。高原野菜が拡がる畑に乗り上げます。

高原野菜畑の農道 実はけっこう登り RICOH GR GR18.3mm1:2.8

 畑の中で須藤さんが、
「この辺に一里観音様があるんだけど。何だー、予習してないの」
と、教えてくれました。秩父からの道程に、一里毎に観音様が設けられていて、その信州側からの一里(秩父からは六里)観音様がこの辺りにあるようです。しかしちょうど作物刈り入れ中の農家の方に尋ねてみると、
「ああ、聞いたことあるけどどうもあっちの山中らしいよ」
とのこと。地形図を見ると、確かに西側の山裾を巻いてこの畑を回る道があります。想像するにあっちが旧道っぽい。
 さすがにその道まで戻る気はしません。再び高原野菜畑の農道を一直線。

 RICOH GR GR18.3mm1:2.8

 畑の上手で舗装農道も終了。森に入ってからはダートが少し続きます。何故か登り坂は一段落、青空と眩しい日差し、鮮やかな紅葉に、これから登る山の裾に到達しつつあることを実感。3人とも気分上々です。
 そのダートの先に駐車場が見えてきました。ここが事前に聞いていた、お昼休憩の場所のようです。11:50、毛木平着。駐車場は登山客の車で一杯。お茶セットを店開きしたかった日なたのベンチの前も、駐車桝も無いのに車が停まっている「大弛峠状態」。でも1台は札幌ナンバーだったので、まあ笑って許すことにして、少し肌寒いあずまやの日陰でお昼にすることにしました。

梓山から毛木平経由で十文字小屋へ 赤は本日の経路

 12:20、毛木平発。駐車場の先から道はぐっと細くなり、千曲川本流の東沢を渡ったところでいよいよ山道開始。

東沢を渡る RICOH GR GR18.3mm1:2.8

 しばらく沢沿いの登りが続きます。広葉樹とカラマツが続く森は梢が高く樹間が開け、秋の陽射しが差し込みます。

秋の白い陽射し、紅葉真っ盛り RICOH GR GR18.3mm1:2.8

 登り始めてすぐに五里観音様が登場。さっき一里観音様にお会いできなかった以上に、小さな佇まいと素朴な表情が何とも可愛らしく有り難く、この道を行き交う旅人を見守ってきてくれた長い日々が偲ばれます。

 しばらく登って水場を過ぎ、1時間後ぐらいから道は谷底から離陸開始。九十九坂と呼ばれる区間に移行したようです。

 広葉樹林の中厳しい坂が続きます。斜度もぐいぐい上がっていきます。お昼の毛木平やさっきの水場で、「登り始め1500m、稜線1900mちょっと超ぐらいだから、まとまった登りは460mぐらいだけ」という話をしていました。時々GPSの高度で残りの登りを確認して登っていたものの、そのうちそんなことも億劫になっていきます。

木漏れ日の登山道 RICOH GR GR18.3mm1:2.8

 ただ、脚を停めて辺りを見回すと、風も無く音も無く、ちょっと前の季節までみたいにうるさいメマトイや吸血昆虫が飛び回ることも無く、静かな森が語りかけてくるようです。それにいつの間にか、上の方に尾根らしい線と、樹間に青空も見え始めています。

 14:05、尾根着。先に到着していた須藤さんととしさんは、紫の雷神パスハンターのサイクリストとお話ししていました。今日は毛木平〜十文字小屋往復、車中泊で明日もこの辺りの山を担いで登る予定との、その方と少しお話しした後、こちらも十文字峠への道へ進みます。

峠への最後の区間 実はまだ登りが続く RICOH GR GR18.3mm1:2.8

 カラマツの向こうの山々や曇り空の中のまぶしい光、そしてちょっと休んだ後で斜度も緩くなった道で気が付くと、気温はだいぶ下がっています。明らかに標高が上がったためでしょう。それにあれだけ晴天だったのが、甲武信岳方面に雲が広がってきています。しかしさすがに10月中旬、まだ紅葉は絶好調。間近に見えてきた前方の稜線の凹み分を目指し、山肌を巻いていきます。
 14:50、十文字峠着。標高2035mの十文字小屋はそのすぐ先で、先着していた須藤さんととしさんが出迎えてくれました。

信濃川上から梓山、毛木平経由で十文字小屋へ 赤は本日の経路
 
 

 3人で到着手続き&会計後、小屋の前に自転車3台を重ねさせていただきます。割り当てのベッドへ荷物を置き、よっぱー前にとりあえず汗が浸みた下着を替えてから、ストーブが焚いてある玄関広間に戻って待望の宴会に。
 須藤さんとしさんは缶チューハイにナナーズのカップワイン(美味しくて買えばよかったと後悔)、そして私は缶ビール。缶は各自持ち帰りとのことでしたが、小屋のご主人が物資を毎日運び上げていらっしゃるとのこと。少しでもお力になれれば何よりです。
 そのご主人、小屋の中で明るいうちからダウンジャケットを着込まれています。夜はやはり0℃ぐらいには下がるそうで、明日の朝も寒そうです。
 明るいうちから山小屋で呑む酒はこの上なく旨く、徳本峠で500mlにやられたばかりなのに、つい油断して350mlを2本も呑んでしまいました。やはり高所の影響か、その後急激に頭がふわっとした感じに酔っ払ってしまいました。実は私的にはその週、某案件の影響で準備ができず、前夜のにわか準備で睡眠時間が削られて、なるべく一刻も早く寝ておきたくてしょうがなかったのです。しかし気の合った3人で話す話は楽しく、ほんとにあっという間に時は過ぎ、食事時刻の17時半に。

 
 

 ストーブ前にテーブルが2列置かれ、ランプが灯り、宿泊の10名が並んで夕食スタート。楽しくおしゃべりしたり道情報を尋ねたりしながら、ホイル焼き、ポトフ、小屋近くで作ったほうれん草など多くのおかずでご飯3杯を美味しく戴きました。
 我々以外の皆さんはほとんど甲武信岳に向かわれるとのこと。一方我々が向かう予定の栃本方面は、

とのこと。明日の行程はけっこうな長丁場ですが、天気も上々、早く出発すればのんびりでも夕方までには栃本に着けそうです。到着時刻次第では最近秩父で人気の高砂ホルモン、更に道の駅の大滝温泉も狙えるかもしれません。そのためにも今晩たっぷり寝ておかねば(特に私)。

 食後は誘われて外へ星空見物へ。昼間あれほど星空が見たいと思っていたのに、酔いが回ってすっかり腰が重い私なのでした。
 ところが、す、すごい量と明るさの星にびっくり。空の真上にとぐろを巻く、ぶっとい銀河の白い模様がはっきりくっきり。その中や外に、明るい星からそうでもない星までちかちか一杯です。人工衛星や流れ星もびゅんびゅん、飛行機ものんびり飛んでいます。星の綺麗な北海道Tour中でも3年に1回眺めることができるかどうかというぐらい。秋まっただ中という季節も、今日の晴天も重なった、見事な星空なのでした。
 18:30頃就寝。隣の壁の向こうでは、同泊の皆さんがストーブを囲んで歓談を続けていました。折角の山小屋泊、本来その輪にも加わりたいのですが、昨夜の睡眠不足でもう限界です。

 しかし次に気が付いたとき、小屋はもう静寂に包まれていたのでした。時間を見ると、まだ20時半過ぎだったような。

記 2014/10/25

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Last Update 2020/3/20
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