北海道Tour12#4-1 2012/8/12 開陽→津別

開陽→(町道北19他)開陽台
→(町道北19・道道150他)養老牛
(以上#4-1)
(以下#4-2) →(道道885他)虹別→(国道243他)仁多
→(農道他)弟子屈
(以上#4-2)
(以下#4-3) →(道道717)札友内→(国道243)屈斜路→
(農道)ウランコシ→(道道588・林道)津別峠展望台
(以上#4-3)
(以下#4-4) →(林道・道道588)津別  130km  ルートラボ

ニューサイ写真 RICOH GR DIGITAL 4 GR6.0mm1:1.9 A地点からC経由でB地点へ 赤は本日の経路 濃い灰色は既済経路

 中標津特有の防風林の中に建つ開陽「民宿地平線」の部屋からは、普通に外を眺めるぐらいだと森が遮って空は見えにくい。しかし出発準備作業中、なんだか窓の外が明るくなってきた。窓に近づいて覗き上げてみると、空が明るい。何と朝日が辺りを照らしていた。一部青空も見える。昨夜の開陽台での星空が思い出された。期待通りの天気だ。
 これではもう開陽台に行くしかない。そういう展開のためにこういう旅程を組んでおいたのだ。

A地点からC経由でB地点へ 赤は本日の経路

 5:45、開陽「地平線」発。しかしこの段階で、辺りは濃い霧に包まれてしまっていた。この辺りでは珍しいことじゃないが、全く天気がすぐ変わるものだ。

 取付の激坂を、12時間ぐらい前にも登ったなあ、等と思いつつまたもやえっちらおっちら登り、6:15、開陽台着。

 悩ましい坂を登る間に、霧は更にどんより暗く濃く、辺りを完全に覆い尽くしてしまっていた。視界はもはや50mぐらい、いや時々50m先すら見えなくなってしまう程だ。ついさっきまで見えていたはずの朝日も青空も、望むべくもない。

 まあそんな状態でも、とりあえず展望台に登ってみると、開陽台に来た気分にはなれるのが有り難い。朝露で周囲がしっとりと濡れ、涼しい風が霧粒とともに通り過ぎてゆく。今日はこの気分が味わえれば満足だ。先に進もう。

A地点からC経由でB地点へ 赤は本日の経路

 7:05、開陽台発。

 濃霧の中、町道北19で俣落へ一度100mも下ってから、牧草地と防風林の中を粛々と北進へ、再び100m登り返しである。特に北進手前の段丘部の直登は、毎回長い一直線の登りにかなりびびってしまうが、まあ登ってみれば標高差は40m程度なのも毎度のこと。

 登り切った北進もやはり霧の中だが、少しづつ牧草地やその向こうの森が見え始めている。視界がまた晴れてきているのだ。

 道道150〜885、養老牛を経由して標茶町虹別まで続くこの一本道は、毎回通る私的定番コースだ。このワンパターンを多少変革すべく、今日も昨日と同じく予め寄り道コースをGPSに入れてある。道道150〜885は大好きな道なのだが、自分の中で決定版過ぎみたいにもなっていて、コースバリエーションができるのはなかなか新鮮なのだ。

 しかし狙い定めていた北進の分岐は、何だか深砂利ダートっぽくて却下。第2候補の、「牧舎」の先のカラマツと牧草地の中を裾野上手方面へ向かう道へ入り込む。 ▼動画1分6秒 寄り道

 牧草地が山裾に変わる手前、牧草地や防風林の中を、道道505や等高線と平行に、寄り道コースは続く。

 道道150と景色の構成はそう変わらないのだが、やはり道幅や牧草地の広さ、周囲の起伏が多少違うのが新鮮だ。

 途中で2年前の寄り道コースに合流、更に今回はもう少し先の良好ダートへ進んでから、再び下って元の道道505に復帰。そこはもう養老牛旭新の手前だった。

 広々とした牧草地、この辺りの印象となっている景色、いつも楽しみないつもの景色が、何だか新鮮にも思える。ちょっと得したような気分になった。

 気が付くと、霧も少しづつ晴れてきているようだ。牧草地の広がりを、問題無く眺めることができている。

 8:30、養老牛着。ここまで辿ってきた一本道が、道道150から道道885に名前を変えるこの交差点。開陽から初めての商店、ながかわ商店がある。商店と看板は出ているもののその実態は自販機スポットだが、朝のコーヒーが飲めるのは有り難く、この道毎度の恒例行事の自販機休憩としておく。
 次の寄り道を、ここから道道150が裏摩周方面へ分岐して、少し進んだ辺りから入り込もうと思っていた。しかし今考え直すとちょっと深入りしすぎだし、そう眺めも効かなさそうだ。今日は止めておこう。


 8:45、養老牛発。

 霧は次第に晴れつつあり、とりあえず道の周囲の牧草地は問題無く眺められるようになっていた。

 行く手の一直線の道と、その周囲に拡がる中標津西部らしい牧草地、向こうの防風林を見渡して走れる気分は、やはり格別だ。

 養老牛から西別岳登山口へと、地形と道がわずかに登ってゆく様子もよくわかる。 ▼動画1分17秒 西別岳登山口到着直前

 西別岳登山口でこの道の最高地点を過ぎると、やはり同じような広々とした牧草地の中、道は一直線に標茶町へ向かって下ってゆく。こうなると、もうこの道も終点の虹別に近い。何だか寂しくもある。

 標茶町に入ってからの寄り道復帰予定地点では、さっき断念した寄り道の先が、ちょっと手こずりそうな凸凹ダートだったのを確認できた。等と少し残念だった気持ちを納得させていると、間もなく行く手に緩やかなカーブのアップダウンが登場。いよいよ虹別だ。

 ここでも裏道を考えてある。いつも根釧台地を振り返るNHKアンテナの丘をショートカットする農道へ分岐すると、細道が何とものどかで好ましい。どうせあっちの展望は、霧で利かないだろう。

 9:20、国道243に合流。ここで一昨日の約束通り、「鱒や」の橘さんに電話しておく。今日はこの先再び鱒や近くを通るので、時間が合えば弟子屈周辺から津別峠越えまで一緒に走ろう、ということになっていたのだ。

 摩周湖外輪山裾野の森の丘を、国道243は標茶町から弟子屈町へ。毎回根釧台地エリアへの出入りを感じる道だが、大型車の交通量にはやや辟易する道でもある。

A地点からC経由でB地点へ 赤は本日の経路

 丘陵越えから最後のスノーシェッドを下り、仁多の弟子屈へ続く農地の外れに降りたところで、狙い定めていた農道仁多2期線へと、GPSの経路表示通りに入り込む。
▼動画32秒 仁多農道二期線 国道243分岐から入った辺り 丘陵牧草地広々

 農道は、牧草地、丘陵軽アップダウン、そして牧場が次々に現れる、表情豊かな道だ。毎回この辺りの風景に心惹かれていた印象通りである。ほんのちょっとだけアップダウンがあっても、交通量が圧倒的に少なくて、しかも弟子屈の市街地裏へ直接出るのが有り難い。今まで下りの勢いに任せて通過してしまっていたのが少し悔しいが、今後の私的幹線に決定だ。

 と思っていると、前方から見覚えのある4駆ワゴンが登場。「鱒や」の橘さんだ。弟子屈辺りでの合流かと思っていたのだが、は、早い。さすが自動車、というより、よくこちらの道がわかったな。さっきの電話で仁多から裏道を行くとはお知らせしていたものの、さすがこの辺りの道を熟知している橘さん、おそるべし。
 その橘さん、自転車服を着てロードレーサーを積んできたものの、ちょっと考えが変わって、今日は私の走行を撮影して下さることにしたとのこと。これは嬉しい。思い返すと、北海道で自分の走行中の姿を撮影していただいたのは、かつて2度しかない。今日は舞台としてはばっちりの弟子屈・屈斜路湖畔、そして津別峠である。特にあの津別峠の4サイド越え写真というだけで楽しみなのに、そこに写るのは自分なのだ。しかもカメラはEOS5DIIに7、レンズはLレンズ。これ以上の好条件は考えにくい。こういう有り難いことも時にはあるのだ。
▼動画1分18秒 仁多農道二期線 仁多の集落から弟子屈へ下る

 摩周の山裾の畑、牧草地、森を、下り基調で抜けてゆく。やや埃っぽく大型車が高速で間近に通り過ぎるいつもの国道243と全く違う、静かでとても楽しい道だ。途中では橘さんが先回りしては待ちかまえて写真を撮って下さって、何だか鉄道写真みたいで大変気分もいい。

 

 下りの先に唐突に交差点が登場、そのまま国道243を横切って、10:15、弟子屈着。
 弟子屈の町の、複雑な角度で道が交わっていつも地図に眺め入る道も、橘さんの先導とGPSに入れておいたトラックデータで難なく通過し、3日前の夕方に休憩したセイコーマートで休憩とする。

 Canon EOS5DU EF16-35mm1:2.8L

 いつの間にか辺りが明るくなっていて、空には青空が現れ始めていた。根釧台地から弟子屈へエリアが変わり、天気も変わったのだ。
 HotChefがあるこのセイコーマートで、豚丼で早めの昼食にする目論見だったのが、豚丼は欠品で多少残念だった。まあいい、カツ丼も十分にオイシイのだ。


 10:50、弟子屈発。

 3日前と同じ道道717から摩周の山裾を眺め、橘さんに待ち受け撮影されたり追い越されたりしつつ国道243へ。

 雲の切れ間の青空はどんどん広がっていて、さっきまでの濃霧低温とは打って変わって、というより旅程4日目にして初めて夏らしいツーリングになっているのが大変嬉しい。 ▼動画28秒 国道243 鱒や入口辺り

 屈斜路からは、またもや国道243の1本山裾側を並行する裏道へ入り込む。

 この道も、この辺りで裏道に入るという発想が今まで無く、通ったことが無かったが、国道243ですらのんびり伸びやかな湖岸の畑が眺められるこの辺り、裏道は更に静かでのんびりと好ましい景色が味わえる。

 裏道とはいえ、国道243にほぼ平行しているため、入り込みやすく経路の無駄も少ない。やはり今後は積極的にこちらを経由したいと思う。

 一方、日差しが現れ、辺りが急に暑くなるのはいつもの通り。汗が面白いようにだらだら出始めた。まあしかし、これも夏ならではの暑さなのである。
▼動画1分1秒 屈斜路湖岸の裏道 畑の中ののんびりした景色
▼動画25秒 屈斜路湖岸の裏道 夏の北海道ツーリングらしいサイクリングになっている

 和琴を過ぎた辺りでは、橘さんがお花畑へ案内して下さった。お花畑の脇で走行写真を撮りたかったとのこと。

 畑には、黄色い小さな菜の花が一面に咲いていた。「キガラシ」という菜の花の仲間だそうだ。とても絵になる場所で写真を撮って下さって、感謝の念に絶えない。

A地点からC経由でB地点へ 赤は本日の経路

 裏道から津別峠の道道588への合流地点は、登りはじめの取り着きの途中、いつもちょっと気に眺めていた分岐だった。「先行して所々で待ち構えて写真を撮る」旨橘さんから伺い、登って行く橘さんを見送り、12:10、ウランコシ発。

 やはり最初の直登区間は堪える。国道243からの直登区間途中で合流するので、直登を下から見上げる精神的ショックは少し緩和されているような気はする。しかし、こんなところで何が無くなったって、これから始まる津別峠の登り総量、標高差約850mが劇的に減ることはあり得ないのだ。幸い空には再び雲が増え始め、たまたま日が翳っているのが登りにはありがたい。

 一方、コマンドの前レバーが緩くて、レバーを上から押さえっぱなしにする必要があるのと、インナーに入りにくくなって、時々現れる10%超えの場所でキックシフトでギヤを替えなければならないのがちょっとストレスだ。

 道は頭上が開けた取り付き区間から鬱蒼とした森に入り、しばらくつづら折れで登り続ける。斜度が厳しい津別峠だが、毎回この森の涼しさと、斜度の緩急にかなり助けられるように思う。下の方ではまだ涼しいというほどではなく、日なたが少ないので暑すぎないというぐらいなのだが、次第に沢の部分で冷気を感じ始め、標高400mを過ぎると風が目立って涼しくなり始める。

 この辺りまで来ると、山肌はますます切り立ち、道は斜面に張り付くように続く。8%基調だった斜度も何だか緩い部分が増えるような気がする。ただ、後でデータを見直すと、全体ではそれほど斜度は変わっていない。こういう印象には、気分の影響も大きいかもしれない。

 急斜面に張り付く道の頭上が開け始めるのは、北海道より内地の峠でお馴染みのパターンだ。ところどころで屈斜路湖も見え始める。晴れた日だとここで再び路上に日差しが現れるのだが、今日はここまでの森区間の間に、天気は再び薄曇りに変わっていた。

 カーブの見晴らしがいい場所で、橘さんがEOSを構えてばしゃばしゃばしゃっとシャッターを切り、また車で先行していく。4サイドの津別峠越え写真、仕上がりがとても楽しみだったが、果たして自分の写真ながら、大変迫力がある写りだった。橘さん、さすがである。

 13:40、津別峠着。朝早めに開陽台を切り上げただけあり、安心の早着だ。ここまでのろのろの登りにつきあって下さった橘さんも、さすがに夏の繁忙期、もうお仕事に戻らないといけない。再会を誓い、下ってゆく橘さんを見送ってから更に水など飲んで一息着いて、14:00、津別峠発。

 津別峠から展望台への2kmは林道区間。舗装ではあるが、斜度も道の雰囲気もここまでより更に険しくなる。開陽台と並んで、私の毎回の北海道ツーリングの最急勾配区間だ。しかし斜面が険しいだけあって、まばらになった道の周囲の木々の間に、周囲の山々の稜線と、その向こうの阿寒・北見の大樹海が広がりはじめる。吹いてくる風も涼しく、折れそうな心を立ち直らせてくれる。
 密な原生林の中、道は途中から直登気味になって更に斜度が厳しくなるが、ここは時間を掛けてじっくりじりじり登ってゆく。斜度が厳しいほど、登り量も大きいのだ。


 14:30、津別峠展望台到着。今年もここに来ることができた。そういう達成感も大きいが、行こうとさえ思ったら、登りでもなんでもいつかは登り切れるという実感が、とても嬉しい。

A地点からC経由でB地点へ 赤は本日の経路

 展望台の柵に自転車を立てかけ、まずは屈斜路湖を見下ろしてみる。もはやさっきの青空はすっかり雲に隠れてしまったが、屈斜路湖と周辺は完全に見渡せる。霧の中だった去年、そして津別峠を雨で断念せざるを得なかった去年よりずっとましだ。
 次は展望台の建物の中へ。売店で蕎麦を食べなくてはならない。しかし、どういうわけか今年は売店がお休みだった。休業している様子は無かったので、また次回以降食べられるかもしれない。ここの蕎麦、冷凍蕎麦ではあるものの、津別峠展望台で屈斜路湖を眺めながら食べられるのだ。こんなに素晴らしい蕎麦は無いのである。

 ちょっと残念な気分で、建物の階段を登って最上部の展望台へ。たかだか10mかそこらぐらい登るだけだとは思うが、やはりこちらの方が眺めがいい。屈斜路湖から摩周の山々、阿寒から北見へ続く山々を一望にする展望が、今日も感動的だ。 ▼動画1分26秒 津別峠展望台 展望360°

 しかし北見方面は、低い雲に覆われ始めているようにも思う。天気予報は明日は雨後曇り、明日は走れないのかもしれない。まあ天気予報通りと言えばその通り、何か予定が決定的に変わるわけでもない。粛々と行程通りに毎日先へ進むだけである。幸い今日は、この後は津別へ向かうだけだ。

展望0° RICOH GR DIGITAL 4 GR6.0mm1:1.9 パノラマ合成 展望0° RICOH GR DIGITAL 4 GR6.0mm1:1.9 パノラマ合成

 15:35、津別峠展望台発。

A地点からC経由でB地点へ 赤は本日の経路

 えっちらおっちら登ってきたふるさと林道区間を、さっきとは比較にならないものすごい勢いで過ぎ、道道588で更に峠区間をどんどん下る。

 山肌のトラバースからつづら折れに移行すると10〜12%が断続しはじめ、森の中を切り揉み状態で更に谷底へ。

 津別側の谷間で斜度と下りペースが落ち着くと、明らかに弟子屈側や峠道より暑さを感じるようになっていた。根室・釧路エリアから網走・北見エリアに移ってきたことを実感する。

 周囲のカラマツの森が次第に牧草地に替わり、谷間が開けて上里の集落へ。 ▼動画44秒 道道588 上里辺り 峠下からしばらく下ってようやく農家登場

 廃校になって久しい旧上里小学校跡をちょっと偵察し、そして畑の中を美都、豊永と、次第に開けて行く谷間をどんどん下ってゆくと、津別の製材所の煙突が見えてきた。

A地点からC経由でB地点へ 赤は本日の経路
 

 16:50、津別「田村旅館」着。
 木造モルタル2階建鉄板葺の、典型的な昔ながらの商人宿だ。津別で町中の宿に泊まるのは初めてだ。長居する予定だった開陽台、津別峠展望台を早めに切り上げての到着なので、だいぶ早い時刻の到着だが、到着時刻に余裕があるのは安心感があって大変良い。
 早めに風呂に入り、洗濯を終わらせて夕食へ。津別の町中で昔から続いているっぽい宿だけあり、食事はなかなか充実している。どかどか帰ってきた工事関係者っぽい団体も大いに満足そうで、盛り上がっている。

 

 夕食を食べ終えても、まだ辺りは何とかほんのり明るい。明日の早朝朝食ネタと、行動食を買い出しにセイコーマートへふらふら出かけるのも、帰りに別の道にチャレンジしてみてなんとなく袋小路に迷い込んだりするのも、実に楽しい町中の宿である。こういうのも、早めの到着ならではの楽しみだ。気分が良い。
 しかし、ちょっと歩いているうちに身体が汗ばんでくるのは、やはりもう涼しい道東から暑い北見地方にやってきた証でもある。明日はあまり暑すぎないように、かつ雨に悩まされないようになってほしいものである。

記 2012/12/9

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Last Update 2013/3/17
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