泉→(県道240・15)小名浜→(県道26)若葉台
→(市道・国道399)いわき 18km
夏井→(町道)舘ノ越
2009年2月の阿武隈湯岐温泉がとても楽しかったので、その路線のシリーズ化をイメージ、いろいろ悩みましたが、結局富岡渓谷又は夏井川渓谷にターゲットを絞り、磐越東線夏井駅からも小野新町からもそう遠くない、門岡さんご推薦の湯沢温泉に宿を決めました。
やや山間の宿なので、この季節、路面が気になります。宿の方によると
「基本的には舗装路面は露出しているけど、日陰ではアイスバーンが残っているかも。また、当日近くで雪が降ったら何ともいえない」
とのこと。直前の宿周辺状況は、
で、特段変わった状況はないということだと思われました。
初日はふじ→さんとスーパーひたちで上野発7:00スーパーひたちで出発。天気予報では仙台以北は何と最高気温が氷点下。中通りの予報もいまいちでしたが、水戸、日立辺りまではまだすかっと晴天、列車に乗っている分にはぽかぽかの陽射しでふじ→さんと「なんだ、全然暖かそうじゃん」だったんですが…
まあそんなうまい話は無く、9:06、泉で列車の扉が開くと、まるで冷蔵庫の扉を開けたようでした。さすが仙台から北が最高気温で氷点下の強力寒波です。天気もいつの間にか山方面のとろんとした灰色の雲が空一杯に広がっています。車窓から見えた向上の煙が全部水平だった通りに、風もかなり強い。
と、ここで突然今夜の宿「湯沢温泉 元湯湯沢荘」から電話をいただきました。何故出発時間がわかったんでしょう。なかなかやるな、この宿、さすが阿武隈の温泉。
それはさておき用件は、何でも昨夜から雪が降り、全面的に積雪4〜5cm、今は雪と強い風が続いているとのこと。出発時刻をイメージして連絡をいただいたとしたら、相当なものです。只者じゃないぞ。
等とびびっていると、輪行中に更に山方面の雲は灰色が濃くなっています。やばい。宿の言ってたとおりだ。あの中はまあ見たとおりにけっこうな雪なのでしょう。
というわけで予定変更、とりあえずいわきへ向かい、その後は空気を読みながら輪行で宿最寄り駅の夏井へ向かうことにしました。門岡さんは多分今頃いわきから出発のはず。天気の状況を連絡しないと、思って電話すると、「まだ仙石線ですー。仙台も雪ですー。」とのこと。
安心して走り始めると、空は次第に更に暗くなり白いものがちらつくようになりました。
漁業の町小名浜を抜けてしばらく走ると、雪はいよいよ本降りに。さ、寒い…追い風なだけが救いです。
11時過ぎ、いわきに着く頃には、我々は上越線181系特急ときのように真っ白に着雪状態だったのでした。
まずは早速時刻表をチェック。と、磐越東線の列車は2時間後の13時過ぎと余裕たっぷりです。駅ビルのドトールでコーヒーを仕入れてとりあえず身体を温めてから輪行作業、その後駅前の再開発ビル3階で蕎麦を食べて駅に戻ってまだ12時過ぎ。何とその間すっかり空は晴れてしまっていました。でも、山の方の黒い雲は何も変わっちゃいません。いずれまた雪中行軍になるのでしょう、今日は。
待合室で某飲料を補給しながら磐越東線の時刻表をぼんやり眺めていると、何と8:48の次は我々が乗る予定の13:14。ということは、泉でそのままスーパーひたちに乗ったままいわきに着いたとしても、乗り換えの磐越東線は変わらなかった。ある意味かなり効率よく行動できたことになります。ちょっと得した気分。
磐越東線はいわきを出発し、夏井川渓谷を遡ります。我々も自転車に乗っていないと何もやることがないので、5万図と景色を照合して、次第に増える路面の雪など眺めながら
「宿まで乗れるかなあ」
「積雪4、5cmでしょ。まあ最悪歩いても1時間も掛からないでしょ」
などと話しますが…
夏井駅の手前から、辺りは突然吹雪き始めました。「雪が降ってて風も強い」、なるほど、確かに朝聞いたとおりの天気です。列車を降りて、去っていく列車が見えません。待合室前の土間ががびがびに凍り付いて、つるつるになっています。待合室に入ってきたおばさんによると、道路標識の温度標示は-5℃。写真を撮りに外へ出ると、パウダースノーが耳の穴に入り込みます。まさかこれほどとは。いわき駅で補給したはずの某成分が、一気に抜けたのがわかりました。
「湯沢温泉 元湯湯沢荘」に電話すると、夏井駅からは徒歩30分とのこと。とりあえず夏井駅には着いた旨お知らせして、宿までは歩くことにしました。
毛糸帽子を深めに被り、念のために持ってきたマスクをして、フリースの下に耐寒ベストを着込んで、意を決して出発。
強風とともに吹き付けるパウダースノーであっという間に体中が真っ白になってしまい、写真を撮ろうと手袋を外すと、ほんの数秒の間に指先は冷え切ります。でも、さくさくの路面は歩きやすく、駅から30分と思えばまあ何とか我慢できる範囲ではあります。何てったってまだ15時前。吹雪かれつつも安心の押し行程なのでした。
そうこうするうち、さっきの宿の電話で、気を回して宿主さんが迎えに来て下さいました。全然乗れてないのにいろいろあって、その割には最後まで意外に効率のいい不思議な1日でした。
風呂に入ったり炬燵でビールを飲んだりするうちに、いわきから夏井駅まで何と自走だった門岡さんが到着。
18時からは夕食で、甘めの牛肉鍋を始め、この雪の山中でけっこうゴージャスな温泉旅館料理。ご飯がけっこう多いのが自転車対応で、何かとこの旅館、自転車慣れしているようです。
今日の宿泊は我々3人だけ。他のお客さんはみんなキャンセルとのことでした。
「一番来そうにない自転車だけ残っちゃったんだねえ」
とか、窓に成長しつつある氷の結晶で現在の気温について話すうち、私は眠気に耐えきれなくなって隣部屋に敷かれた布団へ直行。夜中に気が付くと、他2人もちゃんと寝てました。しかし、玄関の中に停めた自転車に付けっぱなしだったボトルの水は、完全に凍っていたのでした。
記 2010/2/7