起きると、やはり大雨が降り続いている。天気予報どおりだと、今日は1日中降水確率100%。どう考えても撤収が適切だろう。
昨日の段階でこの事態を覚悟していたので、バスの時間はチェックしてある。始発は7時5分、その後は8時台。こうなれば長居は無用だし、後述の大きな目的のため、7時5分でとっとと撤収することにした。
自転車を畳み、輪行袋をと一緒に宿の狭い軒下でスタンバイしていると、間もなくマイクロバスがやってきた。手を挙げて待っていたのに、通過しかけやがって、危ない危ない。
去年の龍神村バス輪は南部経由大回りの田辺行きだったが、今回は田辺直行だ。コースに興味津々で地図とコースを見比べていると、なな何とと言うかまあ一番シンプルにと言うか、中央突破の虎ヶ峰トンネル経由である。
標高差約350mを登り、稜線をしばし辿る道なのは、地図で読めてはいた。実際の峠道は、バスに乗っていても急峻さがよくわかる。その急峻な峠道を、雨をものともせずにぐいぐい登るマイクロバス。偉いぞ偉いぞ。
くねくねぐいぐい、山肌を舐めるような登りが続くうち、辺りは白く霞んできた。雲の中なのだろう。登りが一段落すると、雲の下の下界を見下ろすように周囲の谷間がちらちら見える。
そのうち急に道が下り始めた。こちらも急降下の下りである。谷底の川には、大きな岩がごろごろ転がって、迫力満点だ。何とその名も「奇絶峡」とのこと。
だいぶ下ってもまだ続く渓谷に、「地底まで下ってしまうのではないか」と心配になりかけたところで、周囲が開けて急に里っぽくなった。田辺の近くまで渓谷が続いていたのだった。
7:55、紀伊田辺着。駅前もしとしと雨が降っていて、宿で準備してもらったおにぎりがあり、おまけに家に帰ればは通信販売で買っている南高梅が残っている。何か企む余地は全く無い。
8:39、狙い通り、去年は田辺着がほんのちょっと遅くて乗れなかったオーシャンアローで、紀伊田辺発。
記 2006.5/15