2004.11/7 田口峠・佐久・追分 #2 |
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(以上#1) |
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広々とダイナミックな落差で下界を見渡す上州側(長野県ですが)とは打って変わって、トンネルの向こうはなだらかで狭いカラマツの谷底。これからしばらく下りが続きます。冷えないようにみんな上着を着込んで、おもむろに下り始めます。
ほぼ真っ直ぐな谷間を、するするっと下っていきます。谷は狭く、道は谷底ですが、どこか周囲に広がりを感じるのはまさに信州ならでは。しかし、気温もかなり低く、道端には落ち葉がびっしり。すかすかの木々の間から陽差しが逆に暖かいぐらい。
周囲が開けた雨川貯水池で緑色の水面や紅葉をちょっと眺め、再びどんどん下ります。間もなく現れた集落は、さっきの峠上州側最後の集落と同じ名前で、こちらも田口。いかにも佐久の山村らしい、どこか寂しげで落ち着いた雰囲気の集落が断続します。
谷間はどんどん拡がって、いつの間にか集落の中の旧道から、集落の裏手のバイパスへ。
佐久平の端まで下りきると、田口の集落の中を少し経由して、今度は広々とした田圃の中を北上。今までの下りで谷の先に感じられた拡がりが、一気に目の前に拡がります。
ぽかぽか暖かな小春日和、周囲の田圃では、どこもかしこも天日干しの稲穂を一家総出で取り入れ中。ふと気が付くと、正面には浅間山の大きなシルエットが、次第に濃くなってきました。頂上には、たなびく雲のような噴煙も見えます。
13:50、意外に時間も押してきているので、昼食は北耕地のコンビニで。この季節、午後は一気に陽差しが赤くなります。わずか20分強の間に風景のニュアンスは夕方みたいになってしまい、みんな多少気持ちを急かされるような気分で、14:10、再び出発。
長野種畜牧場では、広々とした牧草地とカラマツがまるで十勝みたい。思わず「北海道みたい」と言ってしまいますが、いや、正面の大きな浅間山は、ここが佐久平の端であることを思い出させてくれます。
農村の細道、多少埃っぽい県道と、風景は次々入れ替わり、周囲の雰囲気は相変わらず広々としているものの、次第にうすら寂しい山間っぽくなってきます。
梨沢、久能と小さな集落の細道を抜け、広戸で鉄骨コンクリート橋を渡って、草越の高台へ。見渡す谷間に向こう側の山々は、赤い陽差しの中で少し寂しげな佇まい。何とも晩秋を感じさせます。
いくつか小さな集落が断続したり、広々とした畑が拡がったり、ますます真っ赤な光の中、周囲はもうすっかり写真でしか見たことが無かった追分そのもの。
この辺りまで来ると、軽井沢から続く別荘地の端に辿り着いたようで、だいぶ別荘地の客らしい自動車が増えてきます。
信濃追分の駅前で今後の行程に目星を付け、国道18に出て軽井沢へ。この道、実はもう20年以上も前、高校1年生の夏に、友人と初泊まりツーリングで来て以来です。蓼科行きの全行程の中で、特に碓氷峠の後だったこともあり、印象の薄い道でしたが、再訪してみると意外に当時の記憶が次々蘇るものです。
16:00、軽井沢着。さすがに名だたる避暑地、寒気が溜まっているようで、信濃追分駅辺りより少し下ったはずなのに寒いです。ここまで来れば後は日没の時間だけ気をつけて碓氷峠を下るだけ。新幹線開通で以前の面影を全く残していない駅前で少し休憩、自然に暖かい缶飲料に手が伸びます。
軽井沢の街外れをだらだらっと登ったかな、と思ったら、そこはもう碓氷峠。
向こう側には再び西上州の風景が。山々に隠れて夕方の陽差しも弱くなってしまい、刻一刻とモノトーンに変わってゆく拡がりを少し見下ろしますが、見晴らしがいいというわけではなく、何より日没が迫っています。あまりうだうだせずに即下り開始。
前述のように、碓氷峠も20年以上前の高校1年生の夏ツーリング以来。その時は無人駅の西松井田で駅寝して、早朝登り始めたのですが、ほとんど全区間押しでした。そのときの訪問がとても印象的だったのですが、今訪れてみると、どこをどう見てもだらだらの緩めの坂が延々と続く道です。時々平場もあるぐらい。
自動車はわざわざくねくね道には来ないようで、ブラインドコーナーで膨らみすぎないように気をつけながら、ひたすら下り続けます。標高が下がると、辺りは次第に晩秋から紅葉シーズン真っ盛りに。頭上を覆う広葉樹、時々見える周囲の山々も何とも気分が良く、下るだけの安心感もあってのんびりと下ってゆきます。
やがて木々の間に碓氷湖を見下ろし、観光客(みんな元鉄?)がたむろするめがね橋を過ぎ、周囲が開けて坂本を一直線に下ると、渋滞の碓井バイパスと合流。暮れなずむ国道沿いのおぎのやで釜飯を仕入れ、横川着17:10。完全に夜になったところでした。
記 2004.12/18