2004.10/23
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下仁田→(県道45)楢原橋→(県道124)ぶどう峠 |
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高崎へは、通称「画期的な八高線」こと5:07箱根ヶ崎発を使う方が早く着く。上信電鉄への乗り換えでも1本差が付く。しかし、箱根ヶ崎へは30分強程度の自走が必要だ。輪行時間やコンビニ買い出しの時間まで含めて逆算すると、3時半に起床しないといけない。夜明けの明るい初夏〜夏だとこれでいけるが、今の季節、ちょっと疲れていると3時半起きはつらいのだ。
等と自分で言い訳しながら、2週連続の始発上越新幹線で高崎下車。
秋の朝らしい白っぽい陽差しに照らされて1時間以上上信電鉄に乗車、8:20、下仁田着。天気予報では冷え込むとのことだったが、どう考えても寒くない。まぶしく暖かな朝の陽差しに、今日は厚着してしまったかと少し後悔した。
8:35、下仁田発。澄んだ青空にごつごつ突き出した、いかにも西上州らしい形の山の谷間へ、県道45は入り込んでゆく。
少し進むと谷間が拡がって集落が続き、険しい雰囲気も薄れてきた。対岸には集落の中に旧道らしき細道が通っている。静かで非常に楽しい道だが、今日はとりあえず先に進む。
9:00、磐戸で田口峠へ向かう県道93と分岐すると、急に登りが厳しくなる。急斜面に張り付いた桧沢の集落では、丁寧に積まれた石垣の道ばたにコスモスが目立つ。真っ赤なサルビアも咲いていた。
激坂と言っていい斜度で集落の中を登ってゆくと、塩ノ沢峠の峠区間、杉林に突入。
激坂だった桧沢と較べて、だいぶ斜度が緩和された道が森の中にしばらく続く。杉林だった周囲は、途中から広葉樹林に変わる。が、その広葉樹の木々は色付いているとは言えず、かと言って緑も鮮やかとは言えない色だ。まだ全然紅葉の雰囲気ですらないが、ここ最近の台風のためか、路上には落ち葉や細い枝が散乱していた。路上に水が流れている場所もある。
いつの間にかさっきの桧沢の谷間を見下ろす位置まで登っていた。標高が上がるに連れ、明らかに周囲の気温が下がっている。今度はレーパンでなくて良かった、とつくづく思った。また、周囲を囲む稜線の先っぽ辺りが、8分ぐらいの紅葉で彩られているのが見えてきた。
10:20、塩ノ沢峠着。短く狭い塩ノ沢トンネルを抜けると、溜まり程度の道ばたの広場は、明るい日なたの中だった。下草のススキの穂が光るように白い。手前から御荷鉾林道が下ってきて、また反対側に登ってゆくのも見える。あっち方面も一度は行かねば。
おにぎりを食べて、フリースを着込んで下り始める。
峠道からは上野村の谷を挟んで反対側の山々まで見渡せた。奥へと続く空間自体はあまり広々という印象ではないが、澄んだ空気の中、青みがかった山の姿がくっきりと鮮やかである。景色にはあまり見覚えが無いが、思えば過去の訪問では、反対側からの登りかいつも曇っていたのだ。
その遠くの山肌にも、近くの木々にも、色づき始めた葉が目立つ。気温が低いと定評がある上野村の谷間だが、その通りに今までの下仁田の谷よりも明らかに紅葉が進んでいるようだ。
塩ノ沢峠のランドマークとして有名な国民宿舎「やまびこ荘」、その脇の刺身こんにゃくが有名な饂飩屋「藤屋」を過ぎると、しばらく集落の中の下りである。
以前何度か来たときに工事中だった塩ノ沢トンネルは、今回何と開通していた。上信越自動車道の下仁田インター近くから、このトンネルで上野村へ着けるとのこと。下仁田の町にはその雰囲気すら無かった。おそらくインターの取付道路から直結するのだろう。
11:05、十国峠から下ってくる国道299に合流。上野村の谷間に降りてきたことになる。すぐに県道124へ分岐、今度はぶどう峠への登りが始まる。
旧道の細道、矢久沢林道への分岐、谷間のオアシスのような小集落の中之沢、幅広の御巣鷹山への分岐、特徴的な各ポイントを次々と通過。
その後は峠区間、今までの神流川よりぐっと幅の狭い日向沢沿いの森の道である。道に覆い被さる密な広葉樹、大きな石の間を流れる渓流が、何とも鬱蒼と山深い。
谷には途中2度の大きな落差があり、道はここを大きなつづら折れでクリアする。そのつづら折れを登り切る度、今まで遡ってきた谷の展望が拡がった。
また、谷沿いの道が山腹を横切って高度を上げると、周囲に真っ赤な紅葉が目立ち始めた。いつの間にか空にはすっかり雲が増え、気温も光のニュアンスも寒々しい。
前回の訪問では紅葉が真っ赤で、秋のぶどう峠は赤の印象があった。今回は、是非その赤を青い空の下で見てみたかった。しかし、まあ例によって曇り空の紅葉もしっとり艶やかで、つくづく来て良かった。
記 2004.10/31