頸城の春01 第9回ランドナーOFF 2001.6/2 まつだい→田麦 #1

まつだい→坂下
→(国道353)新山
→(県道80)室野
→(国道405)安塚
→(県道43)虫川
→(国道253)直江津 ここまで#1
ここから#2 →(県道216)西福島
→百間町→(県道252)大池・小池
→(県道258)長坂
→(県道61)八幡橋
→(県道241)東田中
→米山→山直海
→(県道241)川谷
→(県道78・13)板山
→板山不動尊→(県道78)田麦
104km

板山

桜坂峠

田麦

中野

山直海

長坂

大池・小池

百間町

直江津

浦河大杉

安塚

大島

室野

松之山

小屋丸

まつだい

6/2の全経路(赤色表示) 既済経路は灰色表示


 8:30、まつだい着。明るめの曇り、まあまあの天気だ。
 じんたんさんとホームに降りると、車で来ていたGAMIさんとAKPさんが駅の外から手を振っているのが見えた。

「早く出発しようよ。もう2時間も待ってるんだよ」
「一体あのコース、時間通りに走れるの?直江津まで何kmあると思ってんの?!」
「もう高地さん絶対信用しないよ!」
「大体何でサンプレなの?そんなの似非サンツアーファンだよ」
と、いきなり次から次へと文句が止まらない、GAMIさんとAKPさんのお2人。自転車ぐらい落ち着いて組立てさせて欲しい。でも、一人で走るときみたいに予定を楽観的に考えていたのも事実だ。ちょっとだけ胸が痛んだ。ちょっとだけ。
「2時間待ったのは私のせいじゃないでしょう」
「まあショートカットはいろいろ利きますんで何とかなりますって」
とか何とかごまかして、でも自分でもちょっとどうかなと思っていた海老→県道427の大回りコースが、結局却下になった。

 フォーク抜きのはずのじんたんさんの輪行は異様に速い。横着して前後輪&ガード外しだけで輪行する私とほとんど変わらない時間で、最近完成したというワインレッドのアルプスを組上げてしまった。
 GAMIさんの今日の自転車は、あまりにも有名な水色メタリックのNakajima号。AKPさんはTOEIの実用車かな、と思っていたが、多分初めて拝見する薄緑のPegasas。タイヤがえらく細いのは、HiSさん対策(?)とのこと。
 私のは去年作った2号車。第7回ランドナーオフで見た島さんのHeronに影響を受けたつもりで、かなり新旧パーツ取り混ぜな自転車だが、島さんのようにびしっとならないのはセンスの違いという奴か。今回のランドナーオフ対策(?)として、2週間前にサンプレをインデックスシフト化しておいた。

(GAMIさん撮影)

 8:45、まつだい発。駅の向こうの踏切を渡ると、いきなり坂道がはじまった。と、AKPさんが前に出てきた。なぜか連鎖反応で全員のスピードが上がる。くねくねカーブの向こうに意外としつこく続く激坂を、立ち漕ぎやらなんやら総動員でとりあえず目の前の坂を登り詰める頃には、みんな泣きそうな顔になっていた。誰とも無く
「ちょっとペース速すぎるんじゃない?」
と牽制しあう。ところが、ちょっと下ってまた始まった坂では、再びAKPさんとじんたんさんのバトルが始まっていた。まったく。

(3枚ともGAMIさん撮影)

 松代を出て数分も経っていないのに周囲はすっかり山の中で、5mぐらいしか幅が無い道が森や比較的開けた棚田の中をくねくねと登ってゆく。
 夏ほどではないが、道ばたの茂みは勢い良く伸びつつあり、草や路上には時々大きな毛虫がゆっくり歩いていた。早めのシオカラトンボやそんな感じのトンボが飛び回っている。棚田の水からは植えられたばかりのような細い稲の苗が丁寧に並んでおり、山の広葉樹も新緑よりももう少し緑色が濃くなっていた。初夏1歩手前というか、初夏と言い切るにはまだほんの少し春っぽい。
 まだ標高は200m前半のはずだったが、道路脇から谷に落ち込んでゆく山陰を見ると、泥だらけになった残雪の大きな固まりが見えた。

 小屋丸で登りは一応一段落し、松口までは下り基調になる。下りきった松口では農家の方がご近所総出で田植えをしていた。イレギュラーな棚田の形は現代でも農業機械を拒んでいるようだった。まだ新緑の明るさの残る緑に彩られた農村風景の中、田植えに出かけるおばあさんがにこにこして挨拶してくれるのがとてもうれしい。

 「高地さあ〜ん、ゆっくり行きましょうよ〜」
とかにやにやしながら、AKPさんはじんたんさんと性懲りもなく坂で先行。坂の終わりに近づき、AKPさんが安心した頃に繰り出されるじんたんさんの爆発パワーは圧倒的で、さすがは頸城の主だと思った。
「持ちませんよ、ちょっとこのペースじゃ」
などとじんたんさんは休憩の度に言っていたが、みんなで
「よく言うよ全く」
と応酬した。

 9:15、松之山の農協で小休止。
「大島予定は何時ですか」
「うーん、大体10:30ぐらいじゃないですか」
「じゃ、10:30までに着かないと今後高地さんのこと絶対信用しませんから」
とAKPさんが言う。AKPさんは直江津での鮨に期待しまくっているらしい。しょうがないから松之山から先も黒倉→藤原→県道243を水梨経由の県道80に、室野→竹所→濁を室野→国道405と激坂コースを無くしてショートカットしまくる。農村風景や里山の中、細い道沿いの狭い谷間には愛らしい農村風景が相変わらず続く。

(GAMIさん撮影)

 台地の端の峠トンネルを抜け、国道405が急に谷間へ下り始めると、突然丘陵の谷間に視界が開けた。急にみんなペースを落として写真を取り始めていた。私も中野辺りの瑞々しい田圃と水が豊かな農村風景は大好きだ。思い思いに立ち止まって眺めたり写真を撮ったり、今までけっこういいペースで進んでいたのが、みんなしてかなり速度を落として下ったが、とりあえず大島には予定通りの10:25着。
 大島からは国道405で新緑のブナ林の丘を2つ越え、安塚へ向かった。国道405は全く自動車が来ない静かな道だ。
「これぐらい車が来ないと国道でも全然問題ないよね」
とAKPさん。曇り空の下、曇りなら曇りで、新緑には晴れとは別の落ち着いた明るい表情がある。ゆっくり坂道を登っていると、木陰の茂みには高山チョウのウスバシロチョウが舞っており、鶯やら様々な野鳥の声が聞こえてきた。

 安塚の町では地酒を仕事でお世話になった現場所長さんにお送りする用事があった。私にもいろいろ言い訳はあったものの、お世辞にも問題無いとは言えなかった図面で、きっちり竣工までお世話して下さった方だ。その方が、安塚の「菱ヶ岳」という地酒が好きだと言っていたのだ。
 国道の交差点からとりあえず近くに酒屋が2軒見えた。やってそうな方に入ると、あった!冬に松代で探しても見つからなかった「菱ヶ岳」がごろごろ4種類も。2級・1級・限定版箱入り・有機米醸造と、どれを送るか迷ったが、とりあえず一番高級だと言う箱入りを送った(が、2日後、その所長さんから
「本当は安い2級酒の方がよかったんだよ。いや、今越後の2級酒って流行っててねえ」
と電話がかかってきたのだった)。

 気が付くとすでに11:20を回っている。
「高地さんどうすんの!?直江津ちゃんと着くの!?みんなが待ってるよ!」
とAKPさんがプレッシャーを掛けてきた。ぐうの音も出ない。昼前の直江津合流組のKAIさんには12:15までに行くような連絡を取ってあったが、もはや最終手段に訴えるしかなかった。
「しょうがないですねえ、禁断の国道253でも使いますか」
東頸城丘陵の静かな落ち着く道の後、車の多い国道253はえらく殺風景でつらい道に違いない。しかし、時間的に言ってもはや他に選択は無い。いい加減な計画が生んだ結末と言えた。

 国道253で上越平野に降り、強くはないがしつこい向かい風と、時々雨粒がぱらつく中を、ひたすら何も考えずに西へ向かった。
 直江津着は12:10。昼食合流のKAIさん、すずさん、Zizouさんの北陸本線廃鉄G、せいのさん、のえっちはすでに駅前に集まっていた。

(のえっち撮影)

記 2001.6/10

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Last Update 2003.2/16
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