2024/6/23〜2025/3/15
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2025/3/20の設置状態 |
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就職2年目の1989年。
学生時代にバイト代で買ったスピーカー
が物足りなくなってきたその頃、
S101
は、
秋葉原のオーディオ店
で私の前に現れた。
JBL
の名前は、中学生の頃友人達から時々、スピーカーのラスボスみたいなニュアンスとともに聞いてはいた。しかし実際には音どころか物を眺めたことすら無く、雲の上の存在というより自分には関係が無いと思っていた。そんなわけでS101がどんなスピーカーなのかよく知らなかったものの、私の狭い部屋に置くのに悪くない寸法なのと、会社の先輩方の「いいんじゃない?ホーンの音はキミに合ってると思うよ」という意見で、私はS101にボーナスをほぼ全額投入することに決めた。
その頃私の会社では仕事がとても忙しく、今で言うブラックな勤務状態が定常化していた。バブル崩壊を経て、私が30〜40台になると、業界全体が冬の時代に入ってしまった。リーマンショックの頃には会社の業績が更に悪化し、私は糸の切れた凧のように社内の部署を転々と移り、出向も2回。同じ部署だった人は殆ど会社を辞めてしまった。
どんな時でも、家に帰ってS101でジャズを1曲でも聴くと、不思議に元気づけられた。私にとって、S101は元気の出る音でジャズを聴かせてくれたスピーカーだ。給料は減って新しいオーディオ機器を買う余裕など全く無くなったものの、S101を他のスピーカーとは比べようともしなかったので、とても気に入っていたと思う。
私が50台になった頃、やっと会社の業績が復活し始めた。修理しつつ30年以上使い続けたオーディオ機器を現代の製品に買い換えてゆき、最後に残ったのはスピーカー。買い換えるならやっぱりJBLがいい。現行機種は多分気に入るだろう。30年以上慣れ親しんだS101とお別れするのは、何だか寂しいけど。と思っていた。
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2024年6月。S101のケーブル端子がぐらつき始めた。端子だけなら自分で治せるかもしれない。しかし今度は、2006年に我流でエッジ補修したウーファーも含めて修理する必要があると思い、
ケンリックサウンド
に相談した。
そのときは応急処置として修理だけして、数年間かけてじっくり新しいスピーカーを選ぶつもりだった。しかし、見積書を作っていただいて中身を拝読するうち、棒消しメニューのドライバー・コンデンサー・コイル交換等に気が付いた。
S101が生まれ変わるチャンスじゃないのか。それは、私の人生を支えてくれたS101への恩返しでもある。そしてS101は多分私の終のスピーカーになる。当初考えていなかったことだが、違和感が全く無いどころか、これこそ自分が望んでいたことだ。
というわけで、見積書のほぼフルメニューをお願いすることにした。
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2025年3月15日、S101が帰ってきた。結論から言うと大満足、真摯で丁寧なお仕事に感謝しか無い。
名建築と呼ばれる建物のリニューアルでは、元の建築の魅力的な要素が変わらず、全く別の新たな魅力が加わりますますパワーUPして、更に名建築の度合いが高まって生きながらえる場合が時々ある。今回のS101修理・チューンUPは、そういう例に匹敵すると思った。
そして耐久消費財とこういう付き合い方ができる機会は少ない。私の場合、新品のスピーカーを買うより、慣れ親しんだS101に新たな生命を吹き込んでいただけて本当に良かった。昔このスピーカーに出会えて良かった、とも思う。
一言で言うととても格好良くなった。どこから見ても自分のS101なのに。
一言で言うと大好きな音。音楽を聴いていてウキウキ楽しく、元気になれる。
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記 2025/3/22