The Survivors' Suite
/Keith Jarett

ECM 1085

Keith Jarett - p,ss,bass recorder,celeste,osi drums
Dewey Redman - ts,perc
Charlie Haden - b
Paul Motian - ds


 多くのソロ・ピアノ作品や、近年はスタンダーズ・トリオ(TRIO JAZZと改称)で一般音楽ファンにも有名な、Keith Jarrettのゴリゴリ・ジャズです。録音は1976年4月。70年代中期、Keith Jarrettは並行していくつかの演奏フォーマットで活動していましたが、この時期の中でも最も充実した作品の一つです。
 76年の作品なので、LP盤でA面1曲、B面1曲ずつ。Keith Jarrettの演奏はソロでもトリオでも何でもそうなんですが、この作品も一つ一つの音を出すのにかなりの気合を入れている(であろうと想像される)演奏です。
 シリアスで厳しく激しい音が続くので、この演奏を「フリージャズ的である」とする文章も時々見受けます。でも、20分×2面を聴き終わって、最後に浮かび上がってくるのがやはりいつものきりっとリリカルなKeith Jarrett独特の節回しである辺り、かなり綿密に統制された演奏なのではないでしょうか。イントロから次第に盛り上がって、第1テーマ(?)でソプラノがピアノに変わって、メロディがドラマチックな程ぶ厚く、リズミカルになる辺りとか、次々モチーフが替わるたび、すっと演奏の雰囲気が変わる辺りとか、演奏全体に漂う妙な生々しさとか。
 そう、こういう特徴って、Keith Jarrettのソロ・ピアノ演奏とまるっきり同じですね。ソロ・ピアノにいろいろな楽器が入って、そのままダイナミックレンジが拡がったみたいに思えます。それでいて、メンバーとリズムをずらしながら次第に白熱してゆくA面(Part1)の前半、B面(Part2)の疾走感やエンディングの大爆発なんてカルテット演奏ならではの盛り上がり方ですね。でも、別の人も入って演奏しているのに、「Keith Jarrettワールド純度」が高いという辺りが、この作品の凄いところでしょう。

 この作品の邦題は「残氓」。「生き残った民」、ということだそうです。ジャケットの裏には「Survivors'」の説明があります。この文と演奏の関係について言及した作品評は読んだ記憶がないのですが(国内盤だったら書いてあるかもしれない)、もしかしたらレクイエム的なメッセージが込められた演奏なのかもしれません。そういうメッセージとは関係なく、あまりに作品レベルが高いのが、そういう演奏以外へのコメントを不要にしているのでしょう。でも、そういえばこのクァルテットの74年の名作に「DEATH AND THE FLOWER」というのもありました。

 伊豆のツーリングから帰ったら、TVでは戦争のニュースが。ふとこの作品と、重い音がぶつかり合うイントロを思い出してしまいました。伊豆に行っている間は春らしい「Charlie  Parker with Strings」を考えていたのですが…

記 2003.3/23

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