開陽→(道道150他)養老牛→(道道885)虹別
→(農道)萩野
(以上#-1)
(以下#-2)
→(道道13他)標茶 55km ルートラボ
(以上#-2)
(以下#-3)
→(輪行)落石
目覚ましで4時に起床。毎年北海道の初日早朝は絶好調の高地タイマーにより、自動的に4時に目が覚めるのだが、今回はアラームが鳴るまで目覚めなかった。のみならずなんとなく身体がすっきりしない。窓から朝日が入ってこないのも大きいが、むしろ自分で感じている以上に東京での猛暑に身体がすっかりやられてしまっている。しかも昨日はなんとなく21時半過ぎまで寝なかった。せっかく職場の人目を憚りつつ、有休を2日も付けて望んでいるのだ。ちゃんと睡眠を取って、早く身体をツーリングのリズムに持って行かねば。
等と思いつつ準備を進め、6:10、開陽「民宿地平線」発。出発は6時で十分、という根拠の無い思い込みがあって、なんとなく起床から出発まで2時間も掛かっているが、もっと早く出発できる、とも思った。明日から試してみたい。
折角6時に出発しているのに、民宿地平線が建つ防風林から町道に出ると、辺りは絶望的に霧の中である。もう頭から開陽台へ向かう気はなく、昨日と同じ下手の道へ向かう。途中で霧の向こうの開陽台方面を見上げ、とりあえず諦めを付けておく。
今日は昨日通ったばかりの道道150・885を丸々逆走、虹別から根釧台地の西縁、自衛隊矢臼別演習場の北を上風連、西円朱別を経由し、晴れると太平洋の眺めが素晴らしい恵茶人を眺めて、終着は落石の予定だ。根釧台地と太平洋岸の素晴らしい景色をたっぷり楽しめるように、やや余裕を持った行程としてある。抜かりない計画での訪問の筈だったが、開陽台へのWチャンスはあっけなく潰えた。しかしこの後は、着々と予定をこなして太平洋岸へ向かうべきなのである。
俣落、北進段丘の坂から北進台、「牧舎」前、そして旭新養老牛と、高度が上がって霧は更に濃く、霧はやがて霧雨に変わった。
しかし、今日の予報は曇り。朝のうち雨っぽいのは、道が山裾に近づくこの辺りでは珍しくない。
7:20、養老牛の交差点「ながかわ商店」着。
近年すっかり人気が感じられないこの店には珍しく、昨日は下部が少し開いたシャッターから灯りが漏れていたような気がしたが、今朝は何とそのシャッターが開いていて、中にテントが見えた。よからぬ旅人が入り込んだのか、等とも思うものの、何らかの乗り物は見あたらない。まあどんな事情であれ、私には関係の無さそうな出来事でもある。あまり気にせず、こちらはいつものように自販機でコーヒーなどを仕入れることにしよう。
そんなことより、もっと気にしなければならないことがあった。いつも天気が好転し始めるはずのこの辺りで、一向に晴れないどころかますます雨が本降りに変わり始めている。これはおかしい。コーヒーをぐいっと飲んだところで都合良く交差点に停まった、地元車っぽいおばさんに訪ねてみると、早朝まで曇りだったはずの天気予報は、7時過ぎから1日雨に変わったとのこと。「そうですよねえ、確か曇りでしたよね。今年はほんとに天気が不安定ですね」と、おばさんも天気のあてが外れたようだ。
そうこうしている間に雨はますます強くなり始めていた。この先向かう予定の根釧台地のまっただ中は、ただでさえ毎回天気が不安定な傾向がある。予報で1日雨なら、ますます雨の可能性が高い。根釧台地の大雨がどんなに恐ろしいか、以前一度思い知ったことがある。大幅な予定変更が避けられないように思えた。というより、少しこの先の身の振り方を考え直す必要がある。というわけで、交差点の反対側に建つバス停へ。
考え直すとはいえ、こうなるともう輪行が可能な以上、輪行が大前提だ。今日の宿である落石「カジカの宿」へは、最終的に根室本線で落石下車、というのは決まりなので、落石までどう行くかだ。選択肢は3つ。中標津から厚床行きのバス、標茶から釧網本線、弟子屈から釧網本線、である。このうち中標津からのバスは、交通機関利用距離は一番短そうなのだが、たった今中標津方面から来たばかりなのに、また中標津へ帰るのは気が引けた。しかも、これから中標津方面へ戻ると、今悩まされている雨雲の中に向かうことになるようにも思える。
弟子屈へは既知の安心できる道が続くが、弟子屈は明日通る予定でもあるし、弟子屈より釧路に近い標茶の方が区間運転の本数から言って有利であるように思えた。それに、昨日民宿地平線で教わった道も、ほんの少しながら通ることができる。というわけで、あまり悩むことなく標茶輪行が決まった。
7:45、養老牛発。雲の粗密の都合か、気が付くと雨がだいぶ弱まっていた。
引き続き昨日通った道道885を、昨日とは逆に西へ向かう。
西別岳登山口、中標津・標茶町界、西虹別の牧場農家が霧の中から現れ、過ぎ去って行く。
大好きな道の大きな要素である景色はあまり楽しめないが、道の雰囲気自体は訪問の実感に満ちているのがとりあえず嬉しい。それは、紛れもなく今この道を走っているのだ、これが確かに今回の訪問だったのだ、と断言させてくれるものである。
とはいえ西虹別を過ぎると、意外に早く道が大きく曲がっているのが見えてきた。この道もいよいよ終盤、去年から通り始めた最後の農道区間へ進み、国道243を渡って萩野方面へ。
前述の民宿地平線お奨めコースにも含まれていた区間でもあるこの道。いつもは国道243の丘で根釧台地の地平線を眺めるのを常としていたため、丘の裏手を通るこの道を訪れたことはなかったが、防風林に囲まれた牧草地が続く、なかなか落ち着いた雰囲気のいい道だ。
途中で根釧台地の西縁高台の道、道道13に合流。雨が降っては止まって雨具を着込み、雨が弱まっては止まって雨具を脱いで再度バッグに仕舞う。
あまりぴりっとしない気持ちで最高地点の標高197mを越える。本来なら、ここから東に下って行く平野と地平線を見渡す場所である。しかし今日の道道13は、単純に霧で視界が利かないだけの道になってしまっている。しかもところどころで雨が強くなる。こんな天気でも意外に気温が高いので、雨が強い時以外は雨具を脱ぐ必要もある。
そこから先、地形はおもむろに標茶への下りとなった。
ちょっと走っては雨具を着たり仕舞ったり、こんなのんびりした行程で標茶を目指していると、同じような時間とペースでこの道を標茶へ向かった、1991年冬のツーリングを思い出す。
昨日も眺めた展望ポイントや、2002年に悪態をつきながら登って下った盛大な意味無しアップダウン等を過ぎると、もう標茶の谷間である。
昨日通ったばかりの農道に合流し、昨日発見したばかりのセイコーマートへリベンジを果たし、9:55、標茶着。
まずは列車をチェックすると、12:28発快速しれとこまで釧路行きの列車は無い。あと2時間、かなりのんびり輪行して荷造りして更に1時間余裕がある。これはまあいい。しかし、去年も乗った落石までの根室本線普通列車への接続が、東釧路で1分しかない。駅員さんによると「規定では3分差じゃないと乗り継ぎ対応ではない」とのことだが、まあこれも過去何回か、根室本線のこの列車に乗っていて、釧網本線からの乗り換え客を待って発車するのを見かけている。その時は「釧網本線から乗り継ぎする奴なんているのかよ」と思っていたが、そういうのは必ず自分に返ってくるものなのだ、世の中。
というわけで、乗り継ぎ計画はできた。釧路で昼食を仕入れる時間が取れないが、ならば標茶での2時間の間に、何か食べればいい。
というわけで、駅前食堂の「江戸一」でラーメンを戴くことにした。
店から出ると、再び雨が降り始めていた。さっき乗り継ぎを教えてくれた駅員さんが、「12:28の列車、遅れてるらしいんですよ。ここで停車時間8分あるので取り返せるんだけどね」と、気を揉んでくれていた。
12:28、快速しれとこで標茶発。キハ54は快調な走りで雨の釧路湿原脇を走り抜けてゆく。その間、雨はやや強まってきていた。
列車が東釧路に次第に近づく間、やきもきしながら進行方向を眺め入っていると、島式ホームの反対に、根室本線の根室行きが停まっているのが見えてきた。13:18、東釧路定刻到着。
雨の中速攻で乗り換えようとするが、ワンマン運転で開けられた前のドアに乗り込もうとすると、乗客が多すぎて乗り込むことができない。自転車を置く場所が無さそうなのだ。見かねた運転手さんが、後ろの乗務員室のドアを開けてくれて助かった。まあそんなわけで何とかきわどいところで乗り換え完了、13:19、東釧路発。
上尾幌の密林、門静からの海岸、厚岸湖、糸魚沢の低地湿原から浜中の台地に登るまで、雨は降り続いた。車窓から眺める道のアスファルトは黒々ぬらぬらとして、今日やはり走らなくて良かった、と思わされた。
厚岸では一転して道が乾いていた。しかしやはり、遠景はかなり霧っぽい。
15:05、落石着。
落石へは2年連続での輪行訪問となってしまった。駅で自転車をてれてれ組み立てて1時間。去年もこの駅には同じ時間の列車で到着して、のんびりと自転車を組み立てた。1年ぶりの待合室で、去年と同じ一人きりで自転車をのんびり組み立てていると、去年の気分を何だかまるで昨日のことのように思い出す。
駅から宿へ向かうときにも霧が海から押し寄せてきて、いかにも霧の落石らしいと言えば落石らしい。おまけに天気予報通りだと、明日も輪行出発っぽい。これもまあ期待はしていなかったが、道東らしいと言えば道東らしい旅の風景ではある。確か1990年代後半、道東へ来ても滅多に晴れなかったこともふと思い出す。
今日のカジカの宿では、夕食に毎年楽しみなサンマが出なかった。今年は根室のサンマが不漁で、まだ全く水揚げされていないとのこと。何だか全てがおかしい今年の北海道である。
記 2013/12/8
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