小出→(国道352)枝折峠
(以上#1)
(以下#2)
→(国道352)神池
(以上#2)
(以下#3)
→(国道352)金泉橋
(以上#3)
(以下#4)
→(国道352)檜枝岐
km
天気予報は晴れとのことでしたが、新幹線始発の越後湯沢、浦佐は未だどんより曇りで。でも上越線各停に乗り換えて小出に向かう2駅の間、天気は何とか回復してきたのは、毎度のことで珍しくもありません。
ただ、この先山奥区間の天気は何とも読めません。まあ雨さえ降らなさそうなら、問題無く出発するだけです。
★8:20、小出発。
街を抜け、国道352で東へ向かいます。小出から秘境奥只見湖、奥会津の一番奥の檜枝岐を通り、会津高原までを一続きの道として通ってゆく国道352、その起点がここから始まると思うと、少し緊張します。
街を抜けると辺りは稲の刈り取り中。真っ黄色になって頭を垂れる稲穂には、しかしながら何か黒い小粒の実のようなできものみたいなのが散見されます。冷夏で雨が多かった今年の夏の影響の、何かの病気でないといいのですが。
★9:00、みみずく広場通過。
大湯温泉街を過ぎると、枝折峠裾野の森に突入。辺りは一気に人気が無くなります。
深い森に落ち込んだ渓谷、何だか一気に山奥に来た気分になります。行く手にはこれから登る枝折峠の山肌が、ぐるっと壁のように立ちはだかっているのが見えます。空に雲は多いものの、それの山肌は柔らかい陽射しに照らされ始めています。
高く密な雪国独特の杉林の中、もはやほとんど林道同然の国道352はとぼとぼと奥へ奥へと進んでいきます。
★「ランプの宿」駒ノ湯の看板が幻惑的ですが、いや、行程初日出発早々にして計画をぶち壊すわけにはいきません。
峠区間に入ると、国道352は細かいつづら折れで高度を上げ、山肌に取り付きます。
しばし登りが続きますが、あっという間に今までいた谷間を見下ろす位置まで登ってしまうのと、入り組んだ山肌からの景色が次々に変わるので、ともて楽しい道です。
山肌に取り付いてからはミョーに斜度の緩い箇所があったりしますが、基本的には緩急ある登りが続きます。
この峠、全区間で湾状の山肌内側に開けます。
登るにつれ、やはりさっきの登り始めと同じく高さ、そして平面的な位置関係が変わって景色も次々に変わり、見応えがあります。
特に標高が上がると、周囲の山々の上に駒ガ岳、そして峠近くでは遠く湯ノ谷、小出の町まで遠望できるようになります。
また、一応(?)午前と午後で自動車の方向別規制を行っている(もっとも長岡ナンバー老人はそんなもん守っちゃいない)ため、路上は交通量が少なく、ゆっくりでも落ち着いて景色を楽しみながら登れます。
今回は秋口だというのに、小振りのミヤマクワガタが出迎えてくれました。
距離にして峠区間の約半分、直角(以上)折り返しカーブの鋼製シェッドを過ぎると、斜度は急に厳しくなります。
体感で大雑把に10%基準+α。ところどころ毎回前輪が浮く場所もあります。
ぐいぐい登るだけあり、谷間の展望も一気に迫力を増します。
下から眺めると壁のような斜面だけあり、落ち込んだ谷間には恐怖を感じます。
★10:10、枝折峠到着。登り発汗であまり意識しませんでしたが、陽射しが隠れ気味なのもあって、9月中旬にしちゃけっこうな寒さを感じます。この先絶景の奥只見湖畔で時間が押し気味になることを考えると、ここはあまり長居しない方が何かと都合が良さそうです。
というわけで、折角登った峠ではありますが、水だけ飲んでフリースを着込み、一気に下ってしまいます。
壁のようだった稜線の裏側を急降下、こちらも落ち込みの激しい谷間に面する道で、早く下ってしまいたい道です。
北ノ又川の谷間は、いつもながらきりっと独特の厳しい雰囲気漂う景色がいかにも山深く、息を呑むような見応えがあります。でも、それもまあいつも通りと言えばいつも通り。薄日差す程度の天気なので、もう通過してしまいましょう。
谷底へ下りきり、そのまま銀山平へ。10:40、銀山平、尾瀬三郎商店通過。ここから先、本日のハイライト、奥只見湖岸区間が始まります。
銀山平から先、奥只見湖はぎざぎざに入り組んだ彫りの深い岸の線をなぞって進んでいきます。
道は水平方向に屈曲しますが、まだ大したアップダウンは現れません。
谷の奥へ向かう時には前方の山々、谷の奥ではウォッシュボードの沢と沢の名前の標識、そして時々見える湖を眺めながら、ブラインドコーナーに注意してそろそろ進みます。
湖岸唯一のトンネル、グミ沢トンネルは、中でカーブしているのに照明が無く、そう長いトンネルではありませんが、出口近くで外の光が見えるまで恐怖です。このため、このコースを走るときはここだけのために照明の電池を出発前にチェックします。
グミ沢トンネルを抜けると、いよいよ湖岸区間の3回アップダウン開始です。
少し登ると、登ったなりに湖の景色が拡がります。
アップダウンの最初は、80mの中ノ岐越え(看板は神蜂)。
岬状に湖に突き出た岸の丘をひょいと乗り越え、中ノ岐の谷の奥へ降りていきます。
早々に湖岸近くに降りてから、道は小刻みなアップダウンを繰り返し、小さな沢をひとつひとつ渡ってゆきます。
毎度のことながら、なかなか谷の奥まで到達しません。中ノ岐沢、奥只見湖岸の谷の中でもダントツに深い谷だけあります。
それでもいつかは谷間の奥に着くもので、「雨池」の看板が登場、中ノ岐沢を渡ります。登山道みたいな歩道が岸伝いに奥へ延びてゆく上流方面には、さっきの北ノ又川と同じようにちょっと浮世離れした厳しい雰囲気が漂い、上流方面への興味がそそられます。この橋からこの景色を眺めるのを、今回も楽しみにしていました。
雨池の先は、次の210m恋ノ岐越へ。湖岸区間一番の登りです。
さっき中ノ岐越が長い間湖岸をくねくねしただけあり、すぐに登ってゆくこちらからはしばらく入り組んだ対岸と湖岸に張り付く道が見下ろせます。
あまり調子に乗って見下ろすと、足下へ落ち込む谷底へ転落しそうで怖いので、適当に路上をうろつくカミキリムシを観察します。
標高が上がって次第に奥へ開ける奥只見湖。湖岸の山肌の荒々しい雪崩の跡に、厳しいこの地の冬を想像させられます。
下り始めると今度の谷は恋ノ岐。こちらは中ノ岐よりは浅い谷です。
対岸の山肌を巻いて登ってゆく道を眺めながら、ススキの細道をするする下って、★11:30、恋ノ岐沢着。
さっきの中ノ岐より狭い谷に、くるっと折り返す小さな橋が掛かっています。上流方向はすぐに岩陰の向こうに曲がってしまってよく見えませんが、ちょっと浮世離れした厳しい上流方面の雰囲気は伺うことができます。
自転車的にはさっきの中ノ岐の神池より静かで居心地が良く、この道一番の個人的休憩ポイントとなっています。
★11:40、恋ノ岐沢発。次は標高差140mの鷹ノ巣越え。今回初めて恋ノ岐出越えという道標にも気がつきました。どちらが正かはわかりません。
さっきの恋ノ岐越えよりこちらの景色の方がやや荒々しく迫力がある雰囲気です。
対岸の恋ノ岐越えとの高低差を眺めながら、地図通りに最後は折り返してから稜線越えへ。
越えた向こうは、とりあえず只見川上流側の鷹ノ巣へ、するするっと下っていきます。
途中には十二山神社なる真新しい神社を発見。今までその存在に気が付きませんでしたが、立ち寄ってみると石碑自体は昔からあったようです。
高く険しい山を見上げた中ノ沢や、狭く険しい恋ノ岐と違い、やはり雪崩の跡が残る荒々しい山肌に囲まれつつ、湖面が広めの鷹巣方面は、やや上空が広い印象です。
★12:30、鷹ノ巣着。
今日の終着はいつもの会津高原より遙かに手前の檜枝岐。いつもより延着しても一向に構いませんが、県境13:00着が毎回の目安時刻になっているので、今回も8km先の県境へそのまま脚を進めます。
県境まで標高差は★120m、登り基調の谷には、森と畑が断続。
森はカラマツに広葉樹、民家は尾瀬登山の山小屋で、中には食堂も営業している小屋もあるようです。毎回ここで蕎麦かカレーかラーメンを食べていきたいのですが、毎回そういう訳にはいかないのはいつものこと。
景色自体にも十勝辺りの片田舎の雰囲気が漂い、そんなわけで私にとってはなかなか魅力的な谷間です。一度機会を作って、この山奥の宿に泊まってみたいのですが、なかなかコースをひねり出せずにいます。
県境に近づくと、広葉樹林が連続し始め、登り基調は次第に鮮明に。
12:55、県境着。
見所の多いこの道の中で、この只見川を渡る金泉橋、特に上流方面の風景は、絶景てんこ盛りの奥只見湖の最後を飾る景色として印象に残っています。枝折峠以降上流関係の景色共通のどこか浮世離れした厳しい清らかさ。
それにここまで来れば、もう後は御池まで約600m登るだけみたいなもの。いや、御池から檜枝岐までちょこっと下りはしますが、いつもの会津高原18時半タイムリミットコースに比べれば、もう屁みたいなもんです。
というわけで、今回もこの景色を眺めることができているヨロコビに少し浸り、おにぎり休憩とします。
★13:10、県境発。次は尾瀬登山口の御池までの登りです。
砂子平、小沢平と、しばらく開けた山間にほぼ平坦な道が続きますが、こんなはずではない、という記憶も、確かこういうのが少し続いてからおもむろになし崩し的に斜度が上がっていったような記憶もあります。
辺りが森になると、その記憶通り、次第に脚に重力の抵抗を感じ始めるようになります。もうここまでの坂続きで、視覚は全く坂というものを検出できないのでした。
それはそれとして、見事なぶな林の中を国道352は次第に高度を上げていきます。
下草が少なく、梢が高いぶなの巨木が見事な森が続きます。
登るとともに気温が下がるのみならず、次第に空は暗くなってきました。
次第に周囲の森の隙間に見える風景は次第に近場の森ではなく、周囲の山肌になってきました。
時々展望も開け始めてきました。しばらく坂が続いただけあり、結構高度を上げてきています。
最後は鞍部に取り付いてから、1回下って登り返しのだまし峠。知ってりゃあ、何も難儀なことはありません。
行く手の木々の中に青の標識が見え、★15:00、御池着。麓の気候に合わせ半袖基調で登ってきましたが、だいぶ気温が下がっています。ビジターセンターでいつも通り缶コーヒーを腹に入れねば。
それと、去年はこのコースに来そびれてしまったので、今年は何が何でもTシャツを買わないと。
★15:10、御池発。もうあとは檜枝岐までは一下り。まずはぶな平。
標高差★100m以上の緩斜面にぶなが生い茂るこの辺り。さっきまでの登り区間に劣らず、ぶなの巨木がにょきにょき生えています。
ぶな平が終わると、突如檜枝岐の谷間に放り出されるように、つづら折れ区間に突入。
檜枝岐川の谷間を見下ろしたり、「欅坂の清水」に立ち寄ったりしつつ、標高差★200mを一気に下ってしまいます。
檜枝岐川沿いに着いてからも、もう一息下りが続きます。
いつもの会津高原までだとはこの先まだ600m下って400m登り返しが残っているので、この後すぐ檜枝岐で行程終了なのは、なんだかとても気楽でのんびり、平和な良い気分です。
町中に入って上手のはずの宿の看板を探していると、意外に早く登場しました。★16:00、檜枝岐「民宿 ★開山」着。
とりあえず宿で割引券をもらって温泉施設へ。宿に温泉があれば朝も入れていいんですが、まあ10分弱歩いて村営の「★」へ。
なかなか良い温度のいいお湯の温泉で、ゆっくり使っているうち日が暮れ、薄暗い中を涼しい風に吹かれて良い気分に。
夕食は山のもの主体。檜枝岐名物のサンショウウオは出ませんでしたが、新蕎麦と山のもの主体でなかなか美味しく量もたっぷり。満腹になって、部屋で地図を見ているうちにいつのまにかばたんQ。
記 2010/1/1